リスク補償
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 09:43 UTC 版)
「ヘルメット (自転車)」の記事における「リスク補償」の解説
ヘルメットを着用すると自転車利用者が安心し、より大きなリスクを取るようになるのではないかとの仮説がある。これはリスク補償仮説(英語版)あるいはリスク恒常性仮説として知られる効果である。例えばシートベルトやアンチロック・ブレーキ・システムといった他の安全策でリスク補償が生じると指摘する研究者がいるが、他の専門家からは反論も出ている。 1990〜1999年に発生した交通事故を対象としたスペインの研究では、事故に遭った自転車利用者のうち、ヘルメットを着用していた人は非着用者より交通違反率が低く、事故時の速度違反については差が無かった。論文の著者は「この調査結果からは、ヘルメット着用者における強いリスク補償作用が確認できなかったが、その存在が否定されたわけではない」と締め括っている。 ある実験研究では、ヘルメット着用に慣れている大人はヘルメットを脱ぐと自転車の速度を抑えるが、普段はヘルメットを被らない自転車利用者の場合、ヘルメット着用の有無で自転車の速度は変わらなかった。障害物コースを自分の足で走る子供を対象にした別の実験研究では、子供は安全装備(ヘルメットを含む)を着けている時はより速く、よりリスクを取ることが分かった。 電話による聞き取り調査では、仮に自分の子供が安全装備を着けていると想定した場合、親が子供に許容するリスクは、着けていないと想定した場合より高くなった。負傷した子供に対する病院での聞き取り調査では、怪我をした時に何らかの安全装備を着けていた子供はよりリスクを取る傾向を示した。 ヘルメットを被った自転車利用者に対しては、ドライバーも行動を変える可能性がある。自転車を追い越した約2300台を観測したイギリスのウォーカー氏の報告では、ヘルメットを被っていた時の方が、ドライバーが取る側方間隔が少なかった。
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