ラーマ5世時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/13 18:51 UTC 版)
ラーマ5世(チュラーロンコーン)の時代には文化的に脱亜入欧の傾向が好まれ、文学もその方向で発展した。まず、大きな影響を与えたのが『千夜一夜物語』、『イソップ物語』に見られる短編の翻訳である。またメー・ワンはイギリス女流作家マリー・コレリーの小説『ヴァンデッタ』の翻訳作品『復讐』を書いた。これはタイ語における最初の現代的長編小説と見なされている。この後長編小説を暇つぶしに読む習慣が上流階級を中心に定着し、タイにおける長編小説受容の基礎を築いた。一方でクルー・リアムによる、前述『復讐』を脚色した作品『復讐にあらず』に代表されるような西洋の作品の換骨奪胎が現れるまでに至った。 しかしながら、タイ人による独自の文学作品を作ろうと言う動きも見られた。ピチットプリーチャーコーン親王による作品に彼の僧院での生活を描いた『思えば楽し』などの楽天的な作品や喜劇、悲劇ものが多く、全体に現代文学的に見られる「人間内面の葛藤」や「実生活に根ざした苦しみ」が描かれることは少なかった。一方で、ノー・モー・ソーの『ラム式部長官書簡』の様に自分の息子に対して留学における忠告を書いたようなものもやや見られた。
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