モーター制御系のインバータ回路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 09:11 UTC 版)
「インバータ」の記事における「モーター制御系のインバータ回路」の解説
駆動周波数が低く、大電流大電力である。駆動対象は三相誘導電動機もしくは同期電動機がほとんどであり、スイッチング素子を各相2組ずつ用いた三相出力インバータが用いられる。直入れ始動と比べてインバータ方式では電動機の回転速度調整や出力トルクの調整が容易になることによって効率を大幅に改善することができる。省エネの観点からも、電動機では直入れ制御からの置き換えが推奨される。 回転磁界式の交流電動機では、電機子誘起起電力と周波数:回転数がほぼ比例するので、インバータにより誘起起電力+インピーダンス降下の電圧を加えて定起動電流、定スベリ(定遅れ角)に制御する方式が開発されて、鉄道界ではそれをVVVFインバータ制御、VVVF制御(可変電圧可変周波数制御)と呼んで、1990年代以降の現在ではほとんどの新製車の動力方式となっている。 VVVFインバータのスイッチング素子として、低出力用はバイポーラトランジスタ、MOS-FET、大出力用はゲートターンオフサイリスタ(自己消弧型サイリスタ)や、より高速の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT) が主として使用されている。さらに、IGBTよりオン時の抵抗が小さく消費電力が少なくなるSiCパワー半導体 (炭化ケイ素MOSFET)への置き換えが、2015年1月の小田急線の営業運転から、山手線のE235系車両、東海道新幹線N700Sの2020年の運行開始、へと進み出している。 速度0を含む任意電圧任意周波数の正弦波を生成する方式は基本的にPWM(パルス幅変調)方式に拠っているが、大容量素子の最大動作電圧が不足することから中間電圧を設定した「3レベルインバータ」も使われ、それに対しオン・オフ2値のPWMインバータを「2レベルインバータ」と呼ぶ。
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