モーター特性に合わせた制御
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:45 UTC 版)
「可変電圧可変周波数制御」の記事における「モーター特性に合わせた制御」の解説
VVVFインバータ制御は交流モーターである誘導電動機や同期電動機の基本特性に合わせ、その回転数・周波数にほぼ比例した電圧を加える制御方式である。 従前は供給電源の周波数を自由に変えられる装置が簡単には構成できなかったため、電圧を何段階かに切り換えたり、巻線の結線を変え、あるいは回転子のコイルにスベリ周波数に見合った直列起動抵抗を挿入して最大トルクを得る様に調整するなど、電気特性的にはイレギュラーな簡易的起動方法を採用して、起動後の定常運転状態では軽負荷で使っていた。商用周波数での起動の困難のために無用に大出力の電動機を採用していた。 しかし、大電力用半導体素子の発達でインバーターとして自由な周波数と電圧を生成できる様になったことで、モーター特性に合わせた電力供給が実現されて定常運転出力にあった小型のモータ-を採用できるようになった。 今、鉄心の磁気飽和による最大磁束以下の Φm に励磁された回転子が回転数 n で回転していた場合、固定子に巻かれたコイルには最大Φm のほぼ正弦波の磁束が鎖交する。コイル誘起電圧 e {\displaystyle e} は磁束の変化率( = 微分値)×巻数 N である。すなわち、鎖交磁束を ϕ e = ϕ m ⋅ sin θ {\displaystyle \phi e=\phi m\cdot \sin \theta \ } ・・・・ ( θ = 2 π n t ) {\displaystyle \ (\theta =2\pi nt)} とする時、(Φに付くe,mは添数) sin ( 2 π n t ) {\displaystyle \sin(2\pi nt)\,} の時間微分(変化率)は、 2 π n ⋅ cos ( 2 π n t ) {\displaystyle 2\pi n\cdot \cos(2\pi nt)} であるから、誘起電圧eは e = 2 π N n ⋅ cos ( 2 π n t ) {\displaystyle e=2\pi Nn\cdot \cos(2\pi nt)} となって、一定磁束なら誘起起電力eは回転数 n ,周波数 f に比例することが分かる。「e/f が一定」とも言える。 モーターの端子電圧 = 供給電圧はこれ:誘起起電力eに巻線抵抗などのインピーダンス電圧降下分を加えたもので平衡するから、それをインバータで生成する方式がVVVFインバータ制御と言われるものである。常に最大トルク付近や最大効率を追えるので、使用する交流モーターを従前よりかなり小型化でき細かな制御ができるようになった。そのためエアコンなど家電製品でもインバータ方式( = VVVF方式)が主流になりつつある。
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