マーデルングエネルギー
マーデルング定数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 03:56 UTC 版)
「マーデルングエネルギー」の記事における「マーデルング定数」の解説
イオン結晶において、静電気的なポテンシャルエネルギーを表す定数をマーデルング定数と呼び、結晶構造の種類により決まる定数である。イオン結晶の格子エネルギーUはマーデルング定数をMとして以下の理論式で表される。 U = N A M z 2 e 2 4 π ε 0 r 0 ( 1 − 1 n ) {\displaystyle U={\frac {N_{A}Mz^{2}e^{2}}{4\pi \varepsilon _{0}r_{0}}}\left(1-{\frac {1}{n}}\right)} なおこの定数の計算法として最近接のイオンによる静電エネルギー、第二近接のイオンによる静電エネルギー、と順次加算していくという説明がなされる場合がある。例えば塩化ナトリウム型格子では、ナトリウムイオンを中心として、それを囲む6配位の塩化物イオンとのクーロン引力、さらに隣の塩化物イオンの 2 {\displaystyle {\sqrt {2}}} 倍の距離にある、12個のナトリウムイオンとのクーロン斥力という具合に、以下の無限級数の和として求められるなどと記されることがある。 M N a C l = 6 − 12 2 + 8 3 − 6 2 + 24 5 − ⋯ {\displaystyle M_{\rm {NaCl}}=6-{\frac {12}{\sqrt {2}}}+{\frac {8}{\sqrt {3}}}-{\frac {6}{2}}+{\frac {24}{\sqrt {5}}}-\cdots } しかしながらこの級数は収束しないことが知られており、このような分割ではマーデルング定数を求めることはできない.。これは、このような分割を行った場合にはある項は多数の正イオンのみを含みエネルギーを大きく上昇させ、次の項は多数の負イオンのみを含みエネルギーを大きく低下させることになり、級数の和が激しく振動してしまうためである。また、任意のn番目の項の配位数をnの関数として表現することも不可能であるため、実際の計算にも適さない。マーデルング定数を正しく求める場合には、エバルトの方法などを用いるとよい。また、簡便でありながらも比較的収束が良い計算法としては、立方体状のセルに含まれるイオンからの静電エネルギーを用い、このセルのサイズを大きくしていくという手法もある。主な結晶構造のマーデルング定数は以下の通りである。 結晶構造マーデルング定数 M塩化ナトリウム型構造 1.747558 塩化セシウム型構造 1.762670 閃亜鉛鉱型構造 1.63806 ウルツ鉱型構造 1.6413 蛍石型構造 5.03878 赤銅鉱型構造 4.11552 ルチル型構造 4.816
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