マルチプレイヤー (音楽)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > マルチプレイヤー (音楽)の意味・解説 

マルチプレイヤー (音楽)

(マルチ奏者 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/20 14:07 UTC 版)

マルチプレイヤーとは、音楽(主にポピュラー音楽)において複数の楽器の演奏が出来る演奏家の呼称。英語圏ではmulti-instrumentalist(マルチ・インストゥルメンタリスト)と呼ばれるが、日本では「マルチプレイヤー」という表現が広く使用されている。また、「マルチ奏者」とも呼ばれる。

定義

基本的には、(ボーカルを除く)複数の楽器の演奏が出来るプレイヤーを指す。ただし通常は、以下の条件が必要とされる。

各楽器が、基本構造の異なる物であること
例えば「ギターキーボード」、あるいは「ギターとドラムス」。これに対して「ギターベース」、あるいは「ピアノキーボード」は、基本構造にあまり相違がないため、2者を演奏出来てもマルチプレイヤーと呼称される例はあまりない(ただし複数の種類のキーボードを駆使する演奏技法を「マルチ・キーボード」と呼称する場合がある)。
各楽器ごとに、一定以上のレベルの演奏能力を獲得していること
片方の楽器が卓越した演奏レベルを有しているのに対して、もう片方の楽器がコードを幾つか鳴らすことが出来る、という程度の能力である場合は、マルチプレイヤーと呼称される例はあまりない。

プレイヤーの例

曲ごとに異なる楽器を演奏

多重録音により1人でバンド・サウンドを作れる

  • イーサーン (ギター/ベース/キーボード/プログラミング)
  • ヴァルグ・ヴィーケネス (ギター/ドラムス/ベース/キーボード)
  • エットレ・リゴッティ (ギター/ベース/キーボード/ドラムス)
  • エイドリアン・ブリュー (ギター/ドラムス/ベース/キーボード)
  • キース·ジャレット (ピアノ/オルガン/ギター/ベース/ドラムス/ソプラノ·サクソフォン/フルート/リコーダー/ハーモニカ/各種パーカッション)
  • キャメロン・ルー (ギター/バンジョー/キーボード/シンセサイザー/鍵盤ハーモニカ/ウッドベース/ベース/ドラムス/パーカッション/プログラミング)
  • グレアム・コクソン (ブラー。ギター/ベース/ドラムス/パーカッション/ピアノ/サックス/クラリネット)
  • シャグラット (ギター/ベース/ドラムス/キーボード)
  • ジョージ・コリアス (ドラムス/ギター/ベース/キーボード)
  • ジェフ・リン (元エレクトリック・ライト・オーケストラ。ギター/ピアノ/シンセサイザー/エレクトリックベース/ドラムス/チェロ)
  • スティーヴ・ウィンウッド (キーボード/ギター/ベース/ドラムス/マンドリン)
  • スティーヴィー・ワンダー (キーボード/ハーモニカ/ドラムス/ベース/ギター)
  • ダフ・マッケイガン (ベース/ギター/ドラムス/キーボード)
  • ダン・スワノ (ギター/ベース/キーボード/ドラムス)
  • トッド・ラングレン (ギター/キーボード/ベース/ドラムス)
  • トーマス・サッコネン (ギター/ベース/キーボード/ドラムス)
  • トム・ショルツ (ギター/キーボード/ベース/ドラムス)
  • ピーター・テクレン (ギター/ベース/キーボード/ドラムス)
  • ピーター·ハミル (キーボード/ギター/ベース/ドラムス)
  • プリンス (ギター/ベース/ピアノ/キーボード/シンセサイザー/ドラムス/パーカッション)
  • ベン・フォールズ (ピアノ/キーボード/ギター/ベース/ドラムス)
  • ポール・マッカートニー (ベース/ギター/キーボード/ドラムス等。初のソロアルバム『マッカートニー』は、ポール・マッカートニー1人ですべての楽器を演奏した)
  • マイケル・ジャクソン (ギター/ベース/ピアノ/キーボード/シンセサイザー/ドラム/パーカッション/プログラミング)
  • マイク・オールドフィールド (ギター/ベース/キーボード/パーカッション)
  • ヤニ・ステファノヴィック (ギター/ドラムス/ベース/キーボード/オーケストレーション/プログラミング)
  • ラルフ・タウナー(12弦スチール&6弦ナイロンギター、ピアノ、コルネット、フレンチホルン、シンセサイザー、パーカッション)
  • レニー・クラヴィッツ (ギター/ドラムス/ベース/キーボード)
  • ロジャー・テイラー (クイーン。ドラム/ギター/ベース/ピアノ/キーボード/シンセサイザー)
  • ロバート・ワイアット (ドラムス/キーボード/ベース/トランペット。ドラマーだが、ソフト・マシーン時代の曲「Moon In June」の前半部はワイアット一人でドラム/キーボード/ベースを演奏している。転落事故で半身不随になってからは、ドラマーからシンガー/キーボード・プレイヤーに転向)
  • 阿部義晴 (キーボード/ギター/ベース/ドラムス/トランペット/サックス)
  • 忌野清志郎 (ギター/ベース/ドラムス/ハーモニカ/サックス/フルート/ウクレレ/ピアノ/マンドリン/キーボード/ホラガイ)
  • 大瀧詠一 (ギター/ベース/ドラムス/ピアノ/パーカッション)
  • 岡村靖幸 (ギター/ドラムス/ベース/キーボード/ピアノ/ハーモニカ)
  • 奥田民生 (ギター/ドラムス/ベース/キーボード/サックス/ハーモニカ)
  • 小山田圭吾(ギター/ベース/ドラムス/キーボード/シンセサイザー/パーカッション/テルミン/テノリオン)
  • かまやつひろし (ギター/ドラムス/ベース/キーボード/シタール)
  • 加山雄三 (ギター/ウクレレ/ドラムス/ベース/キーボード)
  • 木幡東介 (ギター/ドラムス/ベース/尺八/トランペット/フルート)
  • 桑田佳祐 (ギター/ベース/ドラム/パーカッション/キーボード/ハーモニカ)
  • 斉藤和義 (ギター/ベース/ピアノ/ドラムス/パーカッション)
  • 崎谷健次郎 (ピアノ/キーボード/シンセサイザー/プログラミング/ギター)
  • 鈴木祥子 (ドラムス/キーボード/ギター/ベース)
  • TAKUYA∞ (ギター/ベース/ピアノ/ドラムス)
  • 田中ヤコブ (ギター/ベース/キーボード/ドラムス/ハーモニカ)
  • 玉置浩二 (ギター/ベース/ドラムス/キーボード/パーカッション)
  • 冨田恵一 (ギター/キーボード/ベース/サンプリング・ドラム)
  • TOMOVSKY (ギター/キーボード/ベース/ドラム)
  • 中村一義 (ギター/ベース/ドラムス)
  • 西脇辰弥 (ギター/ベース/ドラムス/パーカッション/ハーモニカ/大正琴)
  • 星野源 (ギター/マリンバ/ベース/ドラムス/ピアノ。「いち に さん」は、すべて一人で演奏。)
  • 本田雅人(元T-SQUARE。サックス、フルート、トランペット等、管楽器全般/ギター/ベース/ドラムス/パーカッション/ピアノ/キーボード/シンセサイザー。アルバム「Carry Out」は、作曲から演奏、録音まですべて一人で制作)
  • 布袋寅泰 (元BOØWY。ギター/ベース/キーボード/ピアノ/ドラムス/コンピューター・プログラミング)
  • 細野晴臣 (ベース/シンセサイザー/マリンバ/ギター/ピアノ/ヴィブラフォン/パーカッション/三味線)
  • 福山雅治 (ギター/ベース/ドラムス/パーカッション/キーボード/ピアノ/ハーモニカ)
  • 降谷建志 (ギター/ベース/ドラムス/ピアノ/キーボード)
  • 森高千里 (ドラムス/ギター/ベース/キーボード/リコーダー等。ドラムスは正確無比で個性的であり評価が高い。一人で楽曲の全パートを演奏した「ロックンロール県庁所在地」は特に話題となった)
  • 山崎まさよし (ギター/ベース/ピアノ/ブルースハープ/キーボード/シンセサイザー/ドラムス/パーカッション/サンプラー/プログラミング)
  • 山下達郎 (ギター/ベース/ドラムス/キーボード/シンセサイザー/パーカッション/シタール)
  • 吉井和哉 (ギター/ベース/ピアノ/キーボード/シンセサイザー/ドラムス/パーカッション)
  • 吉田達也 (ドラムス/キーボード/ギターの同時演奏も可能)
  • 古屋葵 (ドラムス/ギター/ベース/キーボード)

特記事項

  • 1960年代のフリー・ジャズ・シーンでは、シカゴの音楽組織「AACM」を中心に「多楽器主義」が提唱され、アート・アンサンブル・オブ・シカゴ等、メンバー全員がマルチプレイヤーというバンドも登場。
  • 1970年代のロックシーンでもマルチプレイヤーをフィーチャーしたバンドが多く、ジェントル・ジャイアントのようにメンバーのほとんどがマルチプレイヤーであった例もある。
  • ステージやレコーディングで1種類の楽器だけを担当しているミュージシャンでも実は複数の楽器を演奏出来る人は多く、活動のメインであるバンドの傍らで行うソロ活動では複数パートを兼任するという例は非常によく見られる。

脚注

  1. ^ 『アルティミット・ガイド』・p.139



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マルチプレイヤー (音楽)」の関連用語

マルチプレイヤー (音楽)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マルチプレイヤー (音楽)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマルチプレイヤー (音楽) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS