マイクロエレクトロニクスにおけるルテニウム薄膜の適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 06:40 UTC 版)
「ルテニウム」の記事における「マイクロエレクトロニクスにおけるルテニウム薄膜の適用」の解説
比較的最近に、ルテニウムはマイクロエレクトロニクスの部品内の金属やケイ化物を有益に置き換えることができる材料として提案されている。四酸化ルテニウム(RuO4)は揮発性が高く、三酸化ルテニウム(RuO3)も同様である。ルテニウムを(例えば酸素プラズマで)揮発性酸化物に酸化することで、簡単にパターン化することができる。一般的な酸化ルテニウムの特性により、ルテニウムはマイクロエレクトロニクスの製造に必要な半導体プロセス技術と互換性のある金属となる。 マイクロエレクトロニクスの小型化を続けていくためには、寸法の変化に合わせて新たな材料が必要である。マイクロエレクトロニクスのルテニウム薄膜には主に3つの用途がある。1つ目は次世代の3次元DRAMにおいて五酸化タンタル(Ta2O5)やチタン酸バリウムストロンチウム((Ba, Sr)TiO3、BSTとしても知られる)の両側の電極としてルテニウム薄膜を用いることである。ルテニウム薄膜電極は別のRAMであるFRAMのチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrxTi1−x)O3、PZTとしても知られる)の上に堆積もできる。白金は実験室ではRAMの電極として使われているが、パターン化するのは難しい。ルテニウムは白金と化学的に似ており、RAMの機能を維持するが白金のパターニングとは異なり簡単である。2つ目はpドープMOSFETの金属ゲートとしてルテニウムの薄膜を使うことである。MOSFETのシリサイドゲートを金属ゲートに置き換える場合、金属の重要となる特性は仕事関数である。仕事関数は周囲の材料と一致する必要がある。p-MOSFETの場合、ルテニウムの仕事関数はHfO2, HfSiOx, HfNOx, HfSiNOxなどの周囲の材料と一致する最高の材料特性であり、所望の電気特性が達成される。ルテニウム膜の3つ目の大規模な用途は、銅デュアルダマシンプロセスにおけるTaNとCuの間の接着促進剤と電気めっきシード層の組み合わせである。窒化タンタルとは対照的に銅はルテニウム上に直接電気めっきできる。銅はTaNにあまり接着しないが、Ruにはよく接着する。TaNバリア層上にルテニウムの層を堆積させることにより、銅の接着性が改善され、銅シード層の堆積は不要になる。 他にも提案されている用途がある。1990年、IBMの科学者は、ルテニウム原子の薄層が隣り合う強磁性層間に他の非磁性スペーサー層元素よりも強い反平行結合を作り出すことを発見した。このようなルテニウム層はハードディスクドライブの最初の巨大磁気抵抗読み取り素子で使われていた。2001年、IBMは非公式には"pixie dust"と呼ばれ、現在のハードディスクドライブメディアのデータ密度を4倍にすることができるルテニウム元素の3原子層を発表した。
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