ボトムアップ / 自己同期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 14:33 UTC 版)
「ネットワーク中心の戦い」の記事における「ボトムアップ / 自己同期」の解説
NCWの変革性の第二は、組織末端への意思決定権限委任、および自己同期化による、作戦指揮手順における逐次的OODAループからの脱却・革新にある 。 すなわち、適切な交戦規定 (ROE) 策定の上で、下級指揮官に対して意思決定権限を委任(Bottom-Up/Power to the Edge)し、中間階梯を大幅に削減することで、指揮構造を平坦化する。また、高度なC4Iシステムの支援の下で共通戦術/作戦状況図(CTP/COP)を作成することで、全階梯を通じて情勢認識および上級指揮官の意図を共有し、下級指揮官が主体的に敵情に対応して行動を起こすようにする (自己同期: Self-Synchronization)ことで、意思決定・実行を飛躍的に迅速化する。特に自己同期は、効果中心の作戦(EBO)を遂行するNCWの原動力の切り札である。 このように、高度な情報共有と適切な交戦規定によって、各級指揮官が各自判断のもとで率先して行動することにより、従来より採用されてきた逐次的なOODAループを脱却し、迅速な意思決定と行動によって敵の先手を打ち、さらに実質的な戦闘力も大幅に増大させることが可能となる。 また、ボトムアップ / 自己同期は、兵力の分散配置を可能とし、またそれを必要とする。従来は、指揮統制および火力の集中のため、兵力は集中配置されることを旨としており、分散配置は各個撃破を招くのみであった。しかし、大量破壊兵器所持の敵に対しては、集中した兵力は適切な目標を提供することにもなった。情報・通信技術の進歩、そして武器の覆域拡大は、兵力の分散配置を可能としており、また、NCWコンセプトの下では、兵力の分散配置は、センサーおよび交戦グリッドをより広域に配置できることをも意味することから、兵力を地理的に分散して配置することも十分に有利な選択肢となる。
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