ボクシングにおけるリング禍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 14:27 UTC 版)
「リング禍」の記事における「ボクシングにおけるリング禍」の解説
ボクシングは攻撃が許されるのが頭部と胴体に限定されており、なおかつその多くが頭部を狙っての攻撃という競技の性質上、脚や胴体への蹴りなど頭部以外への打撃や関節技などが許され攻撃が頭部以外にも分散する他の格闘技と比べて、ダメージが頭部へ集中するため、頭部を殴られた衝撃で脳出血を起こして死に至るリング禍が多く発生している。 ダメージにより試合中にリング上で発生する場合もあれば、KO(ノックアウト)、判定如何にかかわらず試合後に発生する例も多い。ほとんどの国や地域のボクシング・コミッションではボクサーへ試合前後の検査を実施しているものの、突発性の高い事例の場合、直接的な予防は困難を極める。アメリカ合衆国の各州のアスレチック・コミッションでも、幾度と無く安全面での改革が行われているが、現在でも発生が続いている。 ヘッドギアを装着して行うアマチュアボクシングや練習中のスパーリングは安全であると思われがちだが、ヘッドギアはあくまで打撃やバッティングによる直接的な傷や腫れを防ぐためのものであり、脳震盪や脳挫傷を防ぐためのものではないため、マスコミなどで報道される試合での発生以外に、アマチュアボクシングやスパーリングでもリング禍は世界的に起きている。文部科学省が2012年(平成24年)7月にまとめた資料によると、ボクシングは「学校運動部活動中に起きた死亡・重度障害事故」の競技種目別発生頻度(10万人当たりの発生件数)で1位の自転車(29.29件)に次ぎ、2位(18.13件)となっている。これは4位の柔道(4.8件)を大きく上回る発生頻度である。 また、直接的にどの試合が原因か分からなくとも、試合行為を重ねることによるダメージの蓄積の影響で最終的にパンチドランカーになったり、失明など深刻な障害を持つに至った場合などもリング禍の一種であるという見方もできるが、それらが出来事としてのリング禍として社会的に認識されているとは言い難い。 ボクシングは世界的な統括組織がないため、正確な死亡者数の把握は難しいが、1890年から2011年の間に1604人のボクサーがリング禍によって死亡し、年間平均死亡者数は13人との調査結果もある。
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