ベスト‐エフォートとは? わかりやすく解説

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ベスト‐エフォート【best effort】

読み方:べすとえふぉーと

できる限り努力をすること。

ベストエフォート型


ベストエフォート


ベストエフォート

別名:ベストエフォート型
【英】best effort

ベストエフォートとは、インターネット接続サービスにおいて、最も通信状態が良好な時の通信品質のことである。ADSLのような多くユーザー通信回線共有する形式サービスでは、通信速度をベストエフォートで示している場合が多い。

ユーザー回線共有して使うサービスでは、専用線のように全ユーザー同時利用耐えるインフラ用意する必要がなく、専用線サービス比べて安価なのが特徴である。半面サービス同時に利用するユーザー数増えるほど、通信速度低下する傾向にあるが、どの程度低下するかは利用状況によるため一概に言いにくい

また、ADSLサービスでは、同時に利用するユーザー数だけでなく、NTT局舎からの距離によっても実際の通信速度変わってくる。

そこで、サービス提供する事業者は、通信速度実測値ではなくベストエフォートで示していることが多い。

通信事業のほかの用語一覧
通信回線:  Ethereal  バス配線  バックボーン  ベストエフォート  光回線  付加価値通信網  プロトコルスタック

ベストエフォート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 05:10 UTC 版)

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ベストエフォート英語: best effort、最善努力)とは、可能な限りの努力をすることをいう[1]が、日本においては、主に電気通信役務において、あらかじめ定められた通信速度を保証しないサービスの形態をいう[1]。ひとつの伝送路を複数の利用者に共用させることにより、通信設備を効率よく利用することができるため、利用料を安く抑えることができるメリットがある。

これに対して、通信速度を保証する電気通信役務のことを、帯域保証型サービスといい[2]、法人の基幹業務向けなどで提供されているが、利用者側のシステムがオフラインでも常に空き帯域を確保している(専用線)ため、一般に利用料は高額となる。

宣伝広告における問題点

ベストエフォート型のサービスの広告において、通信規格上の最高速度を強調して表示する行為は、単に信義則に反するだけではなく、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)で禁止される優良誤認であり、顧客の期待とサービスの実態が異なるような表示となる。

電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン

2003年12月には、「電気通信サービス向上推進協議会」(TELESA、事業者の協会で構成)が自主基準を策定し、宣伝広告において、ベストエフォートについてはサービス品質が環境によって変化しうることを明瞭に表示する、「最高品質」などといった場合は客観的事実に基づくよう求めた(また料金広告など)[3]。2007年にはこのガイドラインの改定のための案を示し、再び虚偽・誇大広告に気をつけ、客観的な事実に基づく点を示した[4]。しばしば改訂されている。

移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン

実効速度が事業者や地域・場所によって違うことが、消費者トラブルとなりうる。とりわけ、スマートフォンにおける理論上の最高速度の表示が高速化するにつれ、消費者からの苦情が増加した。2015年までに総務省が研究会を開催し、実際の速度、「実効速度」を広告に利用するための議論がなされた。2016年には総務省のガイドラインに従った1500地点での計測がNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクによってなされた。これをTELESAが監督する。[5]

消費者から寄せられた苦情は「LTEサービスで150Mbps(最高速度)とされているが、動画が遅延して表示される(実効速度の結果)」といったものである[6]。総務省が電気通信事業を管轄しており、苦情は国民生活センターや、市役所などに設置されている消費生活センターにも寄せられる。

  • 下り最大150Mbps 、 実効速度 42.5Mbps - 103Mbps[7]

伴って、こうした主要キャリアの回線を利用しているMVNO他社は、こうした最高速度の広告宣伝をやめていった[5]。最大速度を宣伝したければ、実効速度も併記するというガイドラインができたことが理由で、各社も計測の準備を行っている[6]

違反例

そうした中で2017年にはMVNOのFREETELが消費者庁によって命令措置を受けた。理由は「業界最速」「販売数1位」とウェブサイトで広告したことについて、特定地点での12時台の結果であったことや、グラフの数値が異なっていたこと、特定の電気販売店での販売数であったことなど。[8] 景品表示法への違反、優良誤認として8824万円の支払いが命じられた[9]

こうした苦情によって2016年に電気通信事業法が改正され、電波のつながり具合や、契約時の説明等が不十分な場合には8日以内に契約を解除できることとなった[10]

2018年にはある男性がUQコミュニケーションズを提訴。「ギガ放題プラン」について、契約上の速度制限について店頭説明では制限にかかったことがないかのように説明されたため契約したら、著しい速度制限があったため。東京高等裁判所の判決により認められたことは、電気通信事業法26条における契約条件の説明義務や、消費者契約法4条1項1号の「不実告知」という重要事項の事実と異なる説明である。また回線提供者のUQは契約を担当した会社ではないが、UQの広告について優良誤認を起こす可能性、消費者契約法9条によって解約金は解約による損害を上回ってはならず、UQの1万9千円は脱法的だと指摘された。[11]

実際の通信速度

ベストエフォート型では通信設備や回線が顧客間で共有されているため、回線利用の混雑を理由に通信品質は低下する[5]。また回線事業提供者の根幹の設備である「バックボーン」が要求されるデータ量に足して不足すると速度低下は起こる[12][13]

2018年には10Gbpsの光回線サービスの提供が開始されている[14]。スマートフォンでは2017年に、NTTドコモが788Mbpsのサービスを開始している[6]

しかし、こうしたベストエフォート型回線サービスの最大速度の表示はあくまでもその通信規格における理論上の最高速度であり、利用者の競合がなく1人のみが使用し、信号減衰がないといった環境は実際には望めない[5]

記者が個人的に実測した一例
  • 最大10Gbps - 実効速度ダウンロード 2200.95Mbps、アップロード 5063.96Mbps[14]
  • 最大1Gbps - 実効速度ダウンロード 618.32Mbps、アップロード 986.12Mbps[14]

またこうしたスピードテストの結果よりも、実際にデータを提供しているウェブサイトからのダウンロード速度は遅くなることがある(この場合、特定のウェブサイトの読み込みが遅い)[14]

NTTドコモによるガイドラインに従った表記
  • 最大788Mbps - 実効速度は97Mbps-162Mbps[6]

パソコン環境

FTTHやCATV、ADSLのWANラストワンマイルの回線の設備が性能不足である場合もある。ここまではモデム(あるいはブロードバンドルーター)までである。

モデム(ブロードバンドルーター)から利用者が使用するパソコンまたはスマートフォンまででは、PCの処理性能や、搭載されたLANWi-Fiの規格上の転送性能が低い場合がある。

こうしたネットワークの途中、あるいは末端において、処理性能の低い機器が存在すれば、その処理性能を上回ることはできない。

例えば2018年時点では、10Gbpsの設備では、10ギガビット・イーサネット(10GBASE-T)のルーターと、カテゴリー6ケーブル (CAT6A) 規格のケーブルが必要となる[14]。Wi-Fiでも、回線業者から送られてくるモデム装置はIEEE 802.11ax(WiFi 6)の最大2.4Gbpsに対応するが、端末側(PCやスマートフォン)の、IEEE 802.11ac(Wi-Fi 5、MIMO)の最大866Mbpsなど(規格により異なる)を超えることはできない[14]。(またこれらの規格も理論上最高速度であり、実測では劣る)

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ a b ASCII.jpデジタル用語辞典,パソコンで困ったときに開く本,デジタル大辞泉. “ベストエフォートとは” (日本語). コトバンク. 2021年3月25日閲覧。
  2. ^ デジタル大辞泉. “帯域保証型とは” (日本語). コトバンク. 2021年3月25日閲覧。
  3. ^ 永沢茂 (2003年12月15日). “広告における「ベストエフォート」表示などで業界が自主基準策定”. Internet Watch. 2018年12月1日閲覧。
  4. ^ 吉澤亨史 (2007年5月22日). “電気通信サービス広告の自主基準とガイドライン改訂で意見を募集”. CNET Japan. 2018年12月1日閲覧。
  5. ^ a b c d 佐々木太志 (2016年12月8日). “通信速度表示とMVNOの関係”. ITMedia Mobile. 2018年12月1日閲覧。 次ページも含む。
  6. ^ a b c d 榊原康、玄忠雄 (2017年5月31日). “格安スマホの実効速度はどう測る?総務省による実証実験が始動へ”. 日経XTECH. 2018年12月1日閲覧。
  7. ^ 田中聡 (2016年1月5日). “3キャリアが通信の「実効速度」を公開――総務省のガイドラインに基づき測定”. ITmedia Mobile. 2018年12月1日閲覧。
  8. ^ 田中聡 (2017年4月28日). “FREETELの「業界最速」は何が問題だったのか? プラスワンと消費者庁に聞く”. ITmedia Mobile. 2018年12月1日閲覧。
  9. ^ 消費者庁、プラスワン・マーケティングに課徴金 「FREETEL」運営時、「業界最速」など不当表示”. ITmedia Mobile (2018年3月26日). 2018年12月1日閲覧。
  10. ^ ご存じですか? 電気通信事業法が改正されました-光回線やスマートフォン等の契約書面はしっかり確認しましょう!”. 国民生活センター (2016年6月6日). 2018年12月1日閲覧。
  11. ^ 出口絢 (2018年5月9日). “契約時の「録音」が決め手に…UQ「ギガ放題」広告に賠償命令”. 弁護士ドットコム. 2018年12月1日閲覧。
  12. ^ 高橋健太郎 (2018年11月30日). “トラフィック急増で体感速度が低下 どこにボトルネックが生じるのか”. 日経XTECH. 2018年12月1日閲覧。
  13. ^ 高橋健太郎 (2018年11月30日). “常にバックボーン帯域を増強 400Gの伝送技術も投入へ”. 日経XTECH. 2018年12月1日閲覧。
  14. ^ a b c d e f 清水理史 (2018年8月13日). “PCから回線までフル10Gbpsの接続はやっぱり速かった! 自宅インターネット環境を「auひかり ホーム10ギガ」に変更”. Internet Watch. 2018年11月25日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • 消費者の皆さまへ (電気通信サービス向上推進協議会) 自主基準に関するガイドライン等

ベストエフォート

出典:『Wiktionary』 (2021/07/11 13:05 UTC 版)

名詞

ベスト エフォート

  1. 最善努力何ら阻害要因なければ提供が可能であるサービス等のレベル。それを超える便益の提供義務はないが、阻害要因がないにも拘わらずサービスレベル達しなければ契約等に反していることとなる。

語源

対義語

  • ミニマム・ギャランティ

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