プランカルキュールとは? わかりやすく解説

プランカルキュール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/12/27 08:26 UTC 版)

プランカルキュール
パラダイム 手続き型プログラミング
登場時期 1948年(発表のみ)
設計者 コンラート・ツーゼ
開発者 コンラート・ツーゼ
主な処理系 Plankalkül-Compiler (ベルリン自由大学 2000年)
影響を受けた言語 Begriffsschrift
影響を与えた言語 Superplan

プランカルキュール: Plankalkül: Plan Calculus)はコンラート・ツーゼが研究目的で考案したプログラミング言語。世界初の非ノイマン型高級言語として1942年から1945年にかけて設計された。1941年に記述されたこの言語に関するメモが現在も残されている。

プランカルキュールは第二次世界大戦や戦後の混乱期が重なり、また彼自身も計算機Z3を商業化するのに忙しかったため公には発表されなかった。ツーゼは1946年にこの言語に関する書籍[1]を執筆したが発行されなかった。ツーゼは1948年に"Archiv der Mathematik"というタイトルでプランカルキュールについての論文を発表したが反響はほとんどなく、長年にわたりマシン語でなければコンピュータのプログラムは作成できないと考えられていた。

1972年になってようやくプランカルキュールが発表され、1998年に最初のコンパイラが開発された。また後になってこれとは別に、ベルリン自由大学2000年に全く新しい実装が開発された。

ドイツ語のKalkülという単語は形式的を意味する。例えばヒルベルト演繹系は元々は"Hilbert-Kalkül"である。従ってプランカルキュールは「設計のための形式的システム」という意味である。

解説

プランカルキュールはAPL関係代数の類似性を示している。代入文、サブルーチン、条件文、ループ、浮動小数点演算、配列、階層構造を持つ構造体、アサート、例外処理、目的指向型実行(goal-directed execution)などのような先進的な機能がある。

max関数を用いて3つの値の最大値を求めるプログラムの例:

P1 max3 (V0[:8.0],V1[:8.0],V2[:8.0]) => R0[:8.0]
max(V0[:8.0],V1[:8.0]) => Z1[:8.0]
max(Z1[:8.0],V2[:8.0]) => R0[:8.0]
END
P2 max (V0[:8.0],V1[:8.0]) => R0[:8.0]
V0[:8.0] => Z1[:8.0]
(Z1[:8.0] < V1[:8.0]) -> V1[:8.0] => Z1[:8.0]
Z1[:8.0] => R0[:8.0]
END

プランカルキュールは複数の行を用いた特殊な表記法を持つ。これはゴットロープ・フレーゲが1879年に開発した数理論理学用のBegriffsschriftと同じものである。

外部リンク

参考文献

  • Zuse, Konrad (1943), "Ansätze einer Theorie des allgemeinen Rechnens unter besonderer Berücksichtigung des Aussagenkalküls und dessen Anwendung auf Relaisschaltungen", unpublished manuscript, Zuse Papers 045/018.
  • Zuse, Konrad (1948/49). "Über den allgemeinen Plankalkül als Mittel zur Formulierung schematisch-kombinativer Aufgaben". Arch. Math. 1, pp. 441-449, 1948/49.
  • Zuse, Konrad (1972). "Der Plankalkül". Gesellschaft für Mathematik und Datenverarbeitung. Nr. 63, BMBW - GMD - 63, 1972.
  • Giloi, Wolfgang, K. (1997). "Konrad Zuse's Plankalkül: The First High-Level "non von Neumann" Programming Language". IEEE Annals of the History of Computing, vol. 19, no. 2, pp. 17-24, April-June, 1997. (概要)

プランカルキュール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 06:35 UTC 版)

コンラート・ツーゼ」の記事における「プランカルキュール」の解説

詳細は「プランカルキュール」を参照 Z4開発中のころ、ツーゼは機械語によるプログラミングは複雑すぎると考えようになった戦争末期ベルリンからシュヴァーベン疎開したとき、ハードウェア作業ができなくなったので、1945年から46年にかけて世界初高水準プログラミング言語プランカルキュールを設計した。その一部1948年発表しているが、全体像公表したのは1972年のことである。これは理論的な部分での業績であり、生きている間には実装されることもなく、後のプログラミング言語にも直接的な影響与えことはなかった。ALGOL設計者1人 Heinz Rutishauser はK・ツーゼは1948年初期アルゴリズム言語開発する試み開始した彼の記法は非常に一般的だったが、その提案はほとんど顧みられなかった。と記している。プランカルキュールの処理系死後5年たった2000年ベルリン自由大学チーム初め実装した。

※この「プランカルキュール」の解説は、「コンラート・ツーゼ」の解説の一部です。
「プランカルキュール」を含む「コンラート・ツーゼ」の記事については、「コンラート・ツーゼ」の概要を参照ください。

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