フーリエ変換とラプラス変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/09 06:54 UTC 版)
「LTIシステム理論」の記事における「フーリエ変換とラプラス変換」の解説
指数関数が固有関数であるという性質は、LTIシステムの解析や予測に役立つ。そのラプラス変換 H ( s ) = L { h ( t ) } = ∫ − ∞ ∞ h ( t ) e − s t d t {\displaystyle H(s)={\mathcal {L}}\{h(t)\}=\int _{-\infty }^{\infty }h(t)e^{-st}dt} を使えば、インパルス応答から固有値を得ることができる。特に興味深いのは純粋な正弦波の場合( exp ( j ω t ) {\displaystyle \exp({j\omega t})} の形式の指数関数、ただし ω ∈ R {\displaystyle \omega \in \mathbb {R} } であり、かつ j = − 1 {\displaystyle j={\sqrt {-1}}} )である。これは引数が純粋な虚数であっても、一般に複素指数関数と呼ばれる。フーリエ変換 H ( j ω ) = F { h ( t ) } {\displaystyle H(j\omega )={\mathcal {F}}\{h(t)\}} により、純粋な複素正弦波の固有値が求められる。 H ( s ) {\displaystyle H(s)} と H ( j ω ) {\displaystyle H(j\omega )} は共にシステム関数、システム応答、伝達関数などと呼ばれる。 ラプラス変換は一般に、t がある値より小さいとき信号がゼロとなるような信号で使われる。通常、その信号がゼロでなくなる時点をスタート時点とし、ゼロから無限大までの積分とする(一方、負の無限大から積分するラプラス変換を一般に「両側ラプラス変換; bilateral Laplace transform」と呼ぶ)。 フーリエ変換は、無限に続く信号を処理するシステムの解析に使われる。例えば、変調された正弦波などだが、二乗可積分でない入力信号や出力信号には直接適用できない。スタート時点以前の信号がゼロなら、ラプラス変換は二乗可積分でなくとも適用可能である、フーリエ変換は、その信号のフーリエ変換が存在しない場合でも、ウィーナー・ヒンチンの定理を使って無限信号のスペクトルに適用される。 これらの変換は畳み込み属性があるため、システムの出力を与える畳み込みを畳み込み定理によって個別に変換したあとに積を求める形に変換できる。 y ( t ) = ( h ∗ x ) ( t ) = ∫ − ∞ ∞ h ( t − τ ) x ( τ ) d τ {\displaystyle y(t)=(h*x)(t)=\int _{-\infty }^{\infty }h(t-\tau )x(\tau )d\tau } = L − 1 { H ( s ) X ( s ) } {\displaystyle \quad ={\mathcal {L}}^{-1}\{H(s)X(s)\}} これにより変換や逆変換が容易になるだけでなく、システム応答からシステムの挙動についての洞察を得ることができる。システム関数の絶対値 |H(s)| から、入力 exp ( s t ) {\displaystyle \exp({st})} がシステムを通過できるか、それとも減衰してしまうかを見ることができる。
※この「フーリエ変換とラプラス変換」の解説は、「LTIシステム理論」の解説の一部です。
「フーリエ変換とラプラス変換」を含む「LTIシステム理論」の記事については、「LTIシステム理論」の概要を参照ください。
- フーリエ変換とラプラス変換のページへのリンク