ファラデーの円盤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 17:43 UTC 版)
マイケル・ファラデーは1821年に世界初の電動機の一つとも考えられる単極誘導モーターとでも云うべき原理を考案している。しかし、師のハンフリー・デービーとアイデアについて考え方が合わず、以後デービーが亡くなるまで、ファラデーは師の専攻の一つである化学の実験に明け暮れる。 ファラデーは1831年に、電磁気を使った発電機の動作原理を発見した。これが後にファラデーの法則と呼ばれるようになった。すなわち、磁場を横切る形で移動する電気伝導体の両端に電位差が生じることを示した。ファラデーは1832年、初の電磁式発電機「ファラデーの円盤」も製作した。これは一種の単極発電機で、銅円盤をU字形の磁石の間で回転させることにより、円盤の側円部と中心部に微弱な電位差を発生する。 この設計では、磁場の影響を受けない部分で逆電流が発生して円盤内で相殺してしまうため、あまり効率がよくない。磁石の間を通る部分で電流が発生するが、磁場の影響を受けない部分では逆方向に電流が流れる。この逆電流のせいで出力を取り出す導線で得られる電力は微弱となり、電磁誘導のエネルギーの大部分は銅の円盤の温度を上昇させる形で浪費される。後の単極発電機では、円盤の周囲全体に磁石を並べ、全体で一定方向に電流が発生するようにして問題を解決している。 もう1つの欠点は、磁束に対して電流の経路が1つしかないため、出力電圧が非常に低い点である。その後の他者の実験で、複数巻きのコイルを使うと高電圧を作りだせることが判明した。出力電圧は巻き数に比例するので、巻き数を加減することで必要な電圧を容易に発生できる。後の発電機では、巻き線が使われるようになった。 最近では、回転子に希土類磁石を使った単極電動機が実用化されている。これは従来よりも様々な面で利点がある。
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