ビーグル2の降下失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 16:24 UTC 版)
「マーズ・エクスプレス」の記事における「ビーグル2の降下失敗」の解説
詳細は「ビーグル2号」を参照 ビーグル2(チャールズ・ダーウィンが乗り組んで世界一周航海を行ったビーグル号にちなんで命名された)は質量 60 kgのカプセルで、12月20日に火星へのコースに投入され、クリスマスの日に赤道地帯のイシディス平原に着地する予定だった。この着陸船は、着陸・操縦用エンジンを持たない。大気圏再突入時の熱を熱シールドで切り抜けた後、パラシュートを開いて減速し、3個のエアバッグで着地時の衝撃を和らげる方法を採用している。 ビーグル2は本体の火星軌道投入と同じころ火星表面への降下を行ったが、着陸推定時刻の3時間後にアメリカ航空宇宙局 (NASA) の2001マーズ・オデッセイ観測機を経由して通信を行われる予定だった通信ができなかった。 このため、再度通信を試みるとともに、イギリスのジョドレルバンク天文台の電波望遠鏡によりビーコンの検出を試みた。しかし、12月26日から12月27日にかけて直径 76 mのアンテナ(Lovell電波望遠鏡)を使用したが、検出はできなかった。 一方、マーズ・エクスプレスの本体は12月30日に火星軌道の軌道傾斜角を変更し、極軌道に乗ることに成功した。新軌道ではビーグル2の近くを通過することができるため、検出を期待して信号受信に再度取り組んだが、通信には成功しなかった。ESAは2004年2月11日にビーグル2の喪失と失敗を宣言した。 2015年1月、NASAのマーズ・リコネッサンス・オービター (MRO) が撮影した高解像度画像からビーグル2を発見したとの報告が発表された。それによればビーグル2は太陽電池パネルの一部展開(4枚のうち2-3枚)まで成功しており、突入・降下・着陸シーケンスまで正常に機能していたことが分かった。しかし、太陽電池パネルが完全に展開しなければアンテナが使えず通信できない設計であった。
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