パイロシークエンシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 00:38 UTC 版)
「DNAシークエンシング」の記事における「パイロシークエンシング」の解説
パイロシークエンスの例ヌクレオチド発光量dATP 1 dGTP 0 dCTP 0 dTTP 1 dATP 0 dGTP 2 dCTP 1 dTTP 1 1980年代から開発が始まり、1990年代後半になってMostafa Ronaghiらが実用化した方法で、ヌクレオチドがDNAに取り込まれるときに放出されるピロリン酸をATPに変化させて発光反応に用いることで、ヌクレオチドがどれくらいDNAに取り込まれたかを定量できるという原理に基づいている。実際にはデオキシリボヌクレオチドを1種類ずつ加えて発光量を測定しては除去することを繰り返すことで、配列を決定する。 反応系には鋳型となる一本鎖DNAとプライマー、DNAポリメラーゼの他に、ATPスルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アデノシン5'-ホスホ硫酸 (APS)、ルシフェリンなどが必要である。 反応系にヌクレオチド(dATP・dGTP・dCTP・dTTPのいずれか1種類)を加える。ヌクレオチドがDNAに取り込まれるとピロリン酸が生じる ピロリン酸が、ATPスルフリラーゼによってアデノシン5'-ホスホ硫酸に付加されてATPが生じる ATPとルシフェラーゼによりルシフェリンが発光する 発光量を測定する 余剰のヌクレオチドを除去する 以上をヌクレオチドの種類を変えながら繰り返す。例えば右表のような発光パターンであれば、そのDNA配列はATGGCTということになる。 最後の余剰ヌクレオチドの除去には、大きく分けて2通りの方法がある。一つは固相法で、鋳型のDNAを何らかの固相の基質に結合させておき、反応液を洗い流して除去する方法である。もう一つは液相法で、アピラーゼを加えてヌクレオチドを分解する方法である。 現状では1度に数十塩基から100塩基程度しか決定できないが、比較的低コストで配列を決定できるために一塩基多型 (SNP) 解析などで使われている。特に2005年にこの原理を応用した大規模シークエンサーが454ライフサイエンス社から発売され、サンガー法の10分の1のコストで大量の配列決定ができるとして注目を集めている。
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