ノイズのない観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 07:58 UTC 版)
「スパースモデリング」の記事における「ノイズのない観測」の解説
線型方程式系 x = D α {\displaystyle x=D\alpha } を考える。ここで、 D {\displaystyle D} は劣決定(英語版) m × p {\displaystyle m\times p} 行列 ( m < p ) {\displaystyle (m<p)} であり、 x ∈ R m , α ∈ R p {\displaystyle x\in \mathbb {R} ^{m},\alpha \in \mathbb {R} ^{p}} である。ここで、行列 D {\displaystyle D} (通常、最大階数と仮定される)は「辞書」と呼ばれ、 x {\displaystyle x} は関心のある信号である。基本的なスパース表現問題は、 x = D α {\displaystyle x=D\alpha } を満たす最もスパースな表現 α {\displaystyle \alpha } を求めることと定義される。 D {\displaystyle D} の列決定性により、この線形システムは一般的に無限に多くの可能な解が認められ、これらの中から非ゼロの数が最も少ないものを探す。形式的に言えば、 min α ∈ R p ‖ α ‖ 0 subject to x = D α {\displaystyle \min _{\alpha \in \mathbb {R} ^{p}}\|\alpha \|_{0}{\text{ subject to }}x=D\alpha } を解く。ここで ‖ α ‖ 0 = # { i : α i ≠ 0 , i = 1 , … , p } {\displaystyle \|\alpha \|_{0}=\#\{i:\alpha _{i}\neq 0,\,i=1,\ldots ,p\}} は ℓ 0 {\displaystyle \ell _{0}} 半ノルムで、 α {\displaystyle \alpha } の非ゼロ成分の数を数える。この問題は、組合せ最適化におけるNP完全な部分集合選択問題への還元を伴うNP困難であることが知られている。 α {\displaystyle \alpha } のスパース性とは、その中で少数の成分( k ≪ m < p {\displaystyle k\ll m<p} )だけが非ゼロであることを意味する。このようなスパース分解(sparse decomposition)を行う潜在的な動機は、 x {\displaystyle x} を D {\displaystyle D} のできるだけ少ない列(アトムとも呼ばれる)の線形結合として、可能な限り単純に説明したいという欲求にある。このように、信号 x {\displaystyle x} は、 D {\displaystyle D} から取り出したいくつかの基本要素(アトム)から構成される分子と見なすことができる。 上記の問題は確かにNP困難であるが、近似アルゴリズムを用いてその解を見つけることができる。そのような選択肢の一つは、 ℓ 0 {\displaystyle \ell _{0}} の代わりに ℓ 1 {\displaystyle \ell _{1}} ノルムを用いて問題を凸緩和 (en:英語版) することで得られる。ここで、 ‖ α ‖ 1 {\displaystyle \|\alpha \|_{1}} は α {\displaystyle \alpha } 内の要素の絶対値を単純に合計したものである。これは基底追跡(英語版)(basis pursuit、BP)アルゴリズムとして知られており、任意の線型計画法ソルバーを用いて処理することができる。もう一つの近似法は、マッチング追跡(英語版)(matching pursuit、MP)のような貪欲法で、非ゼロの位置を一度に一つずつ見つけてゆくものである。 驚くべきことに、 D {\displaystyle D} に関する穏やかな条件(Spark (数学)(英語版)、相互コヒーレンス(英語版)または制限付等長性(英語版))と、解のスパース性のレベル k {\displaystyle k} の下で、スパース表現問題は一意の解を持つことが示され、BPとMPはそれを完全に見つけることが保証されている。
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