NP完全とは? わかりやすく解説

NP完全問題

(NP完全 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 20:43 UTC 版)

NP完全(な)問題(エヌピーかんぜん(な)もんだい、: NP-complete problem)とは、(1) クラスNP: Non-deterministic Polynomial)に属する決定問題(言語)で、かつ (2) クラスNPに属する任意の問題から多項式時間還元(帰着)可能なもののことである。条件 (2) を満たす場合は、問題の定義が条件 (1) を満たさない場合にも、NP困難な問題とよびその計算量的な困難性を特徴づけている。多項式時間還元の推移性から、クラスNPに属する問題で、ある一つのNP完全問題から多項式時間還元可能なものも、またNP完全である。現在発見されているNP完全問題の証明の多くはこの推移性によって充足可能性問題などから導かれている。充足可能性問題がNP完全であることは1971年スティーブン・クックによって証明され[1]、R. M. カープの定義した多項式時間還元[2]によって多くの計算量的に困難な問題が NP 完全であることが示された。


  1. ^ (Stephen Cook (1971). "The Complexity of Theorem Proving Procedures". Proceedings of the third annual ACM symposium on Theory of computing. pp. 151–158.)
  2. ^ (Richard M. Karp (1972). "Reducibility Among Combinatorial Problems" (PDF). In R. E. Miller and J. W. Thatcher (editors). Complexity of Computer Computations. New York: Plenum. pp. 85–103.)
  3. ^ J.Kleinberg・E.Tardos『アルゴリズムデザイン』浅野孝夫ほか訳, 共立出版, 2008, 455ページ
  4. ^ David P.Williamson・Daivid B.Shmoys『近似アルゴリズムデザイン』浅野孝夫訳, 共立出版, 2015,21ページ
  5. ^ David P.Williamson・Daivid B.Shmoys『近似アルゴリズムデザイン』浅野孝夫訳, 共立出版, 2015, 43ページ
  6. ^ David P.Williamson・Daivid B.Shmoys『近似アルゴリズムデザイン』浅野孝夫訳, 共立出版, 2015,67ページ
  7. ^ 『チューリングの計算理論入門』講談社、2014年2月20日、189頁。 
  8. ^ Tetris is Hard, Even to Approximate, Technical Report MIT-LCS-TR-865 Ueda, Nobuhisa; Nagao, Tadaaki (1996), NP-completeness results for NONOGRAM via Parsimonious Reductions, Technical Report, Department of Computer Science, Tokyo Institute of Technology, TR96-0008 牟田 秀俊 (2005), “ぷよぷよはNP完全”, IEICE technical report. Theoretical foundations of Computing 105 (72): 39-44 水野 秀一; 田中 哲朗 (2008), “I.Q Intelligent QubeのNP完全性の証明”, 情報処理学会研究報告. GI, [ゲーム情報学] 28: 53-59 


「NP完全問題」の続きの解説一覧

NP完全

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 16:46 UTC 版)

NP困難」の記事における「NP完全」の解説

NPの中では「完全」な問題意味する。つまりNPの中では最も解くのが難しい。

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NP完全

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:14 UTC 版)

P≠NP予想」の記事における「NP完全」の解説

1971年スティーブン・クック定式化した概念で、クラスNP属しクラスNP属する他の全問題多項式時間帰着される問題をNP完全という。充足可能性問題はじめとして数千個以上の問題がNP完全であることが示されている。これらのNP完全問題一つでもクラスPに属することを示せれば、P=NPとなる。

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NP完全

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 07:19 UTC 版)

充足可能性問題」の記事における「NP完全」の解説

充足可能性問題NP(Non-deterministic Polynomial time(非決定性多項式時間非決定性チューリングマシンによって多項式時間で解くことができる問題)かつNP困難問題である。このような問題クラスNP完全問題という。充足可能性問題多項式時間変形することによって、様々なNP完全問題構成することができる。 任意の論理式からなる充足可能性問題はNP完全であるが、ある特殊な形状をもつ論理式クラス限定しても、なおNP完全であることが証明されている。 CNF-SAT - 節の論理積からなるもの。 3-SAT - CNF-SATのうち、節内のリテラル数が、高々3つのもの。 NP問題の補問題、つまり結果YesとNo逆転させた問題co-NP問題という。 充足可能性問題YesとNo逆転させ、論理式否定をかけて変形すると、トートロジー判定問題になる。トートロジー判定問題co-NP完全問題である。

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