ニュートロニウムの同位体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 03:49 UTC 版)
「ニュートロニウム」の記事における「ニュートロニウムの同位体」の解説
「ニュートロニウム」という用語は科学文献において、物質の一種を指す用語としても、元素を指す用語としても、通常は使用されない。ただし自由中性子のほか、陽子を含まずに2つの中性子のみから構成される粒子の存在可能性についての報告の中で、「ニュートロニウム」という表現が使用されることはある。「ニュートロニウム」は、結び付く中性子の数により、次の分類が考えられている。 モノニュートロン (Mononeutron) 単一の中性子が孤立した状態にあるもの。自由中性子のこと。ベータ崩壊の過程で発生する。平均存在時間は約15分であり、半減期は約10分である。この中性子はベータ崩壊により、電子および反ニュートリノを放出して陽子となる。 ダイニュートロン (Dineutron) 中性子2個が結び付いた状態のもの。束縛粒子ではない。三重水素を発生させる原子核反応の過程において、極めて短い時間にのみ存在する状態と考えられている。 トリニュートロン (Trineutron) 中性子3個が結び付いた状態のもの。存在は認められていない。短時間の存在可能性についても予想されていない。 テトラニュートロン (Tetraneutron) 中性子4個が結び付いた状態のもの。仮説粒子。存在報告は実証されていない。仮に存在が立証された場合、現在の原子核モデルを見直す必要がある。 ペンタニュートロン (Pentaneutron) 中性子5個が結び付いた状態のもの。仮説粒子。計算では、中性子5個が結び付くことはありえない。 以降、中性子20個が結び付いた状態のイコサニュートロンまで考えられているが、いずれも計算上は存在し得ない。 もし「ニュートロニウム」を1つの元素として受け入れるならば、先述の分類は、ニュートロニウムの同位体として解釈することができる。ニュートロニウムという言葉は登場しないが、米ブルックヘブン国立研究所の国立核データセンター(英語版)が発行する原子核データ情報冊子 Nuclear Wallet Cards では「元素」の1つとして扱われ、「同位体」がリストアップされている。この冊子の第7版においては、元素記号 n と表現され、原子番号 Z = 0 となっている。また同位体として、質量数 A = 1 のものが掲載されている。
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