ニューアーバニズムとトランジットモール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 23:37 UTC 版)
「インナーシティ」の記事における「ニューアーバニズムとトランジットモール」の解説
インナーシティとなった地区は、都心に近接していることが多く、治安の改善や住環境の整備で高級住宅街に変化させることが出来る。また、インナーシティ化した地区は、地価が安くなってしまっているため、安価に入手した土地を高級住宅街にすることが出来れば、莫大な富を得ることが出来る。そのため、北米の大都市ではニューアーバニズムと呼ばれる思想的運動と経済原理が合致して、次々とインナーシティの再開発が行われている。思想的意味合いでは、住居、商業、オフィス、レジャー施設をそれぞれ歩ける範囲内に供給し、道路のための土地を削減し、大量輸送手段の効率化を進めようとしている。これは、ヨーロッパで成功例がある都市中心部再生策の模倣である。 ヨーロッパでは、路面電車 (LRT) と中心部のトランジットモール、郊外のパークアンドライド用駐車場(無料や定期)、そして、安価な公共交通定期券の組み合わせによる都市システムとして成功例が見られる。ヨーロッパのシステムでは、住民の移住の要らない交通システムの変革が都市システムを変化させるのに対し、北米の場合は、経済システムであるため、インナーシティの現在の住民を立ち退かせて再開発するのが前提となっており、かなりの違いがある。ニューヨーク市のサウス・ブロンクスなど、かつて犯罪の巣窟として知られた典型的なインナーシティでは、こうした都市の再構成で再生を図る動きが見られる。 日本では近年「都心回帰」といわれる現象が起きている。この場合、高層マンションの開発をベースにしているが、その用地は、海岸埋立地・企業の社宅跡地・都心の低開発地区などである。日本の場合は、低開発地区の治安が悪いわけではないため、インナーシティの再生とは異なる。また、日本の低開発地区は持ち家率が高いため、地権者でもある住民は、再開発マンションの住民に移行することが多い(外国のインナーシティは賃貸の住民で占められるため、再開発マンションに住む権利がないだけでなく、再開発後の高騰した家賃では住むことができないことが多い)。
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