ナトルプ報告とは? わかりやすく解説

ナトルプ報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 21:10 UTC 版)

存在と時間」の記事における「ナトルプ報告」の解説

ハイデッガー自身証言などから、1923年には『存在と時間』の草稿書かれていたことが知られていたが、その所在長らく不明だった同年ハイデッガーフライブルク大学非常勤講師からマールブルク大学への異動決まっており、そのさいに現在執筆中の著書概要をまとめたものを審査論文として提示するよう要求され、『アリストテレス現象学的解釈──解釈学的状況提示』と題した論考パウル・ナトルプ提出していた(通称「ナトルプ報告」)。この論考が『存在と時間』の初期草稿に当たるのではないか推測する向きと、「アリストテレス現象学的解釈」と『存在と時間』がいかなる関係をもつのか疑問視する向きとがあったが、この「ナトルプ報告」も行方不明となっていたため結論は出なかった。 しかし1989年マールブルク大学同時期にやはりハイデッガー招聘ようとしていたゲッティンゲン大学ゲオルク・ミッシュ提出した内容論考発見されその内容から「ナトルプ報告」が『存在と時間』の初期草稿であるとする推測正しかったことが証明された。そこで明らかにされている本論アリストテレス読解通した古代ギリシアから中世経て近代に至る存在論ひいては西洋哲学全体読み直しであり、問題第1部第3編時間存在」はこの歴史的考察基盤となるものであること、また序論はその準備段階にすぎないのであること、したがって実際に刊行された『存在と時間』は長大膨れ上がった序論本論たどりつく前に中断されたものであることなどが明らかになった。

※この「ナトルプ報告」の解説は、「存在と時間」の解説の一部です。
「ナトルプ報告」を含む「存在と時間」の記事については、「存在と時間」の概要を参照ください。

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