トリ型モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 05:37 UTC 版)
鳥のような形をした二足歩行モデルである。胴体が前後に長く、前に曲がる第2関節を持つ脚を持つ。胴体と第3節の間に第4節を設定する場合もある。生物の鳥類には第4節がある。 胴体の両側に股関節があり、重心位置が股関節の位置とサジタル平面上で一致する。胴体の重心位置が股関節と一致するので、胴体に偏心モーメントが無い。したがってモーメント力を床面まで伝える必要が無いので、足首トルクを必要としない。そのためトリ型二足歩行ロボットでは足首のアクチュエータは省略されるか、小さいものでよい。末端重量を小さくできるので、第2関節、股関節のアクチュエータも小型化できる。そのため、脚部全体を軽量化することが可能である。脚が軽いので全身の重心位置が股関節の位置にほぼ一致し、地面を蹴る力をダイレクトに重心に伝えることができる。このためトリ型モデルは運動性能が良く、高速に走行することができ、エネルギーコストも良いとされる。 トリ型二足歩行ロボットは1990年頃に産業技術総合研究所、および信州大学で製作されている。2004年にはトヨタ・i-footが製作された。産業技術研究所のロボットはZMPによる歩行理論の実証を目指して、理論的に最も合理的なトリ型が採用された。信州大学のロボットは歩行ロボットとしては初めてサスペンションを装備した。足首と股関節にバネとダンパーを装着し、歩行から走行までモードレスに扱うことのできる独自の歩行理論の実証を目指した。 生物界ではトリ型歩行のほうが、直立二足歩行よりはるかに多く見られる。これは運動性がよく、エネルギー効率が高いためであると考えられている。実際ダチョウなど走鳥類は時速80km以上で長時間走ることができるとされている。これはチーターよりは遅いが、チーターの最高速は数秒間しか出ない。長距離ではダチョウの方が優れていると言われている。
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