トキ保護区と課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:57 UTC 版)
2001年に陝西省人民政府により、3万7549ヘクタール(例:香川県高松市とほぼ同等の面積)にも及ぶ「陝西省トキ自然保護区」が設立された。2003年に陝西省は「国家級自然保護区」に昇格させるよう中華人民共和国国務院に対する上申を行い、2005年に正式に認められ「陝西漢中トキ国家級自然保護区」(陕西汉中朱䴉国家级自然保护区)となった。同保護区は、洋県(総面積の約9割)と城固県(総面積の約1割)にまたがり、大半が海抜500~1000メートルの丘陵地帯である。中国の保護区は、人の往来を制限するものであるが、陝西漢中トキ国家級自然保護区においては約7万7000人が居住し、その95パーセントが農業に従事しているが、平均所得は極めて低い水準にある。 野生トキ及び生息地の保護により、2009年末時点で野生下トキは760羽に達した。トキの個体数増加により、活動範囲は漢江とその支流にまで広がったが、漢江上流には工場地帯が立地しており、トキの体内に蓄積される化学汚染が懸念される一方、岸部と内陸部の所得格差の解消と言う社会的問題点があるため、共生には課題が多い。保護区内の農民には、農薬・化学肥料の制限が課せられるとともに補償が行われているが、補償額に対する不満と、個体数増加に伴う営巣域拡大による補償総額の増加を抱え、その財源確保は容易ではない。
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