チベットのラマの諸相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 09:41 UTC 版)
ラマとはチベット語で導師(グル)を意味する言葉であり、指示対象は必ずしも僧と一致しない。チベット仏教のすべての僧がラマと呼ばれるわけではないし、逆に、ラマと呼ばれる人がみな僧であるとも限らず、僧でない者や、ボン教徒も含まれる。出家して戒律を守る清僧は剃髪するのに対し、僧侶でない在家のラマは髪を伸ばしている。このようなラマはニンマ派やボン教に多い。 ナムカイ・ノルブ・リンポチェは、チベットのラマの主な生活スタイルを次の4つの類型に分類している。 僧院で生活する僧侶。 家族とともに村に住む在俗の行者。 一箇所に定住せずに弟子たちを連れて移動して歩く在俗の行者。 洞窟などに住むヨーガ行者。 サンガ(僧伽)といえば一般には出家僧の共同体を指すが、ニンマ派においては、小乗仏教の戒律を厳守する僧尼は「ゲンドゥン・マルポ」(赤いサンガ)の正式な一員であり、具足戒を受けない在家行者は「ゲンドゥン・カルポ」(白いサンガ)の正式な一員となる。 カギュ派においては歴史上、「カルギュー」(白い相承)という在家密教行者の伝統もあり、瘋狂の智慧を体現した「ニョンパ(英語版)」と呼ばれる人々を輩出した。たとえば、ブータンの地でドゥクパ・カギュ派の布教を行った15世紀のヨーガ行者、ドゥクパ・クンレー(英語版)は日本の一休宗純のようなさまざまな奇行の逸話で知られており、伝説の瘋狂聖人として今なおブータンの民衆に親しまれている。その後17世紀にガワン・ナムゲルがドゥクパ・カギュ派を国教と定めたブータンには現在数千人規模の出家僧がいるが、ゴムチェンと呼ばれるニンマ派の在家行者もいる。
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