チタタㇷ゚ citatap(肉や魚のたたき)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 00:59 UTC 版)
「アイヌ料理」の記事における「チタタㇷ゚ citatap(肉や魚のたたき)」の解説
チタタㇷ゚というアイヌ語を訳すれば、「チ・タタ・ㇷ゚」(ci-tata-p 我々が・たくさん叩いた・もの)。その名の通り、魚のたたきである。 以下は、代表的な作り方。 鮭のアラ、頭、白子をイタタニ(丸太を輪切りにして作った俎板)に乗せ、鉈のような重みのある刃物で刻み、叩く。 ペースト状になるまで叩いたら葱、メンピロ(ノビル)、プクサ(ギョウジャニンニク)のみじん切りを薬味として加える。 焼き昆布と塩で味を整える。 鮭以外でも、スプン(ウグイ)、ウッタㇷ゚(カスベ)、イチャニウ(マス)、チマカニ(カジカ)などあらゆる魚、さらにユㇰ(鹿)、キムンカムイ(ヒグマ)、モユㇰ(狸)、イソポカムイ(兎)、さらにルオㇷ゚(シマリス)などの獣肉も刻んで薬味を加え、チタタㇷ゚に加工された。老いた獣の肉は固いことが多いので、チタタㇷ゚に加工すれば食べやすい。 食品が傷みにくい冬期には大量にチタタㇷ゚を作り、数日間かけて食べた。これらチタタㇷ゚の鮮度が落ちた場合は、つみれのように汁に入れる。 イオマンテ(iomante)の際は、熊の脳のたたき「チノイペコタタㇷ゚」が作られる。材料は熊の頬肉、脳味噌、葱、塩。儀式で飾り付けた熊の頭から脳味噌を取り出し、あらかじめゆでて刻んだ熊の頬肉と混ぜる。薬味として葱を効かせ、塩で味付けする。熊送りの際しか作られない貴重な料理なので、量も少ない。儀式を司るコタンの有力者から、掌に直に下賜される。1952年、旭川近文アイヌの長・川村カ子トからこの料理(ここでは「ノイペフイベ=生の脳味噌」の名で記されている)を振舞われた動物学者の犬飼哲夫は、「クマを神とするアイヌの信仰からくる心理的影響が大きいからで、我々には通用しない味である」と感想を述べている。
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