ソ連時代の改作
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1917年のロシア革命後、『皇帝に捧げた命』は一時的にロシアのオペラ劇場のレパートリーから外れたが、詩人セルゲイ・ゴロデツキーによる新たな歌詞を付されたプロローグと4幕のオペラ『イヴァン・スサーニン』として、1939年2月21日にモスクワ・ボリショイ劇場で初演された。ゴロデツキーの『イヴァン・スサーニン』は、『皇帝に捧げた命』の台本から帝政に言及した箇所を「ロシアの大地」と民衆への賛辞に置き換えたもので、スターリン時代の愛国心高揚に利用された。 以降、このオペラはほとんどゴロデツキー版によって上演・録音されてきたが、ペレストロイカ末期の1989年、『皇帝に捧げた命』にタイトルを戻した帝政時代の版がモスクワ・ボリショイ劇場において復活上演された。これらについて『新グローヴオペラ事典』では、歌詞・音楽ともに「官製国民性」のイデオロギーによって統一されたこの作品において、ゴロデツキーの台本はその調和を崩すものとし、「代用の台本はやがて消え去る運命」にあると述べる。一方、森田稔によると、1989年の『皇帝に捧げた命』復活上演やその後のミラノ・スカラ座での再演については演出が不評であり、1945年のバラトフ演出によるゴロデツキー版『イヴァン・スサーニン』が1997年に再び上演された。このときのプログラムでは、「政治的理由からではなく、演劇としての美学的基準のみに従った」とされている。
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