スマグラー
1707年、スコットランドがイングランドに併合されると、誇り高きスコッツ(スコットランド人の自称)たちは、ロンドン政府に酒税を納めることをきらって山奥に蒸溜所を移し、密造に走りました。山の清冽な水は仕込みに理想的。手作りの小さな銅釜での蒸溜が幸いして、ウイスキーの品質は向上。しかも無税のため値段は安く、町で人気の的となりました。夜陰にまぎれて密造ウイスキーを町へ運び、収税吏の目を盗んで売る彼等はスマグラー(密輸人)と呼ばれました。もちろん見つかれば生命を失いかねない彼等でしたが、反イングランドの意気に燃える掟破りの勇者としてスコットランドの民衆に称えられ、スコットランドの国民詩人ロバート・バーンズも「ウイスキーと自由はともに手をたずさえて進む」と謳っています。密造者たちは運悪く収税吏と出くわすと、あわてて洞穴などに輸送中の樽を隠して逃亡しました。樽は放置され、やがて数年。誰かがこの樽のウイスキーをおそるおそる飲み、普段飲んでいる透明で風味の粗い火酒との差に気づきます。樽の酒は琥珀色に色づき、香り、味たるやなんとも芳醇なものに変わっていました。密造者たちは醸造や蒸溜の技術を洗練させただけでなく、こうして、樽貯蔵による熟成という技までも見つけ出したのです。 |
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