シンボルの使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/18 14:14 UTC 版)
宗教的シンボルの使用はヒューマン・ユニバーサルな現象である。考古学者スティーブン・ミズンは、創造神話や超自然的な存在、超自然的アイディアの象徴として宗教的習慣はシンボルを含むのが一般的だと考えている。超自然的存在は自然の摂理に反するために、他人に伝えたり共有するのは常に困難である。この問題は芸術に代表される物質的な手段を用いることで克服できる。物質の形に変換されれば、超自然的概念は伝えられ理解されるのが容易になる。 宗教と芸術の繋がりを考慮すれば、発掘されたシンボルの証拠は人の心が宗教的思考を行う能力があった可能性を示していると考えられる。芸術とシンボルは宗教的思考に必要な抽象概念と想像力の存在を示す。ヴェンツェル・ヴァン・ヒュイスティーンは、不可視な存在をシンボルを通して解釈することで人類の祖先は抽象的な信念を持つことができたと考えている。 シンボルを用いた行動の初期の証拠のいくつかはアフリカの中期旧石器時代の遺跡から発見されている。少なくとも10万年前からベンガラのような顔料を用いていた証拠がある。顔料は狩猟採集にはほとんど実用的な意味をなさない。したがって彼らが顔料を用いていたのは儀式的な目的があったためだと考えられている。現在でも、世界中で残存している狩猟採集民の多くはベンガラを儀式的な用途に用いている。赤い色はどの文明でも普遍的に血、セックス、生と死を表していると主張されている。 ベンガラの使用をシンボルの代用と見なすことはあまりに間接的すぎるとしばしば批判される。リチャード・クラインとスティーブン・ミズンのような科学者は芸術の明白な存在は抽象概念の典型と認めるだけである。前期旧石器時代の洞窟芸術は石器時代における宗教的思考の明白な証拠を提供する。ショーベの洞窟壁画には半身が人間で半身が動物の生物が描かれている。このような神人同形の例はふつう、シャーマニズム的習慣と関連している。
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