サルタレッロ
アルカン, シャルル=ヴァランタン:サルタレッロ ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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アルカン, シャルル=ヴァランタン:サルタレッロ ホ短調 | Saltarelle en mi minour Op.23 | 出版年: 1844年 初版出版地/出版社: Bureau Central de Musique 献呈先: Madmoiselle Elisa Poussielgue |
作品解説
1844年に作曲された。8分の6拍子 ホ短調 プレスティッシモ。演奏所要時間は約3分30秒。楽譜は視覚的にシンプルだが、これを指定のスピードで演奏をするのはかなり難しい。冒頭から最後まで3連音符が一貫して奏される。同じパッセージが繰り返されているが、それに少しずつ装飾が加わって曲の華やかさが増している。同音連打が多いので、指使いにも工夫が必要であろう。
中間部はイ長調。ppで極めて繊細に。縦の刻みが強調されていたこれまでの部分に対して、右手には一つの大きなスラーがかかっており、非常になめらかにパッセージを奏する。左手は重低音を生かしながらはっきりと拍を刻み、曲に推進力をもたせる。これが大きな跳躍とアクセントを伴って盛り上がり、ffになり、高音域で華やかな音色を響かせる。再びホ短調に戻り、曲は一気に加速、最後はfffで華々しく曲を閉じる。
知名度は低いが、華やかさと楽しさを兼ね備えており、アンコールピースなどにも最適な一曲である。
サルタレロ
(サルタレッロ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 23:54 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動サルタレッロ(saltarello)は、13世紀のナポリにおいて初めて記述が見られる、活発で陽気なダンス。音楽が現存しているが、この当時どのようなダンスであったかは知られていない。速い3拍子の音楽で、特徴的な跳躍(イタリア語の動詞でsaltare)のステップにその名を由来する。
歴史
サルタレロは中世ヨーロッパの宮廷において人気を博した。15世紀にサルタレロの名前は決まったダンスのステップ(アップビートに小さい跳躍を持つ2歩のステップ)と、速い3拍子の音楽を指すようになり、この両者の使い方による例が多くの舞踏譜に見られるようになる。一曲全体がサルタレロのステップと拍子で扱われる例は、15世紀のイタリアでの即興ダンスとして、ダンスの手引書に挙げられている。最初にサルタレロを扱った理論書は、1465年のアントニオ・コルナッツァーノによるものである。このステップと拍子は16世紀のダンスの手引書には、繋ぎの部分にしか見られない。この時代には仮面舞踏会の仮装をした宮廷人のグループによって踊られていた。サルタレロはドイツの quadernaria の起源になり、やがてこのダンスはsaltarello tedesco (ドイツのサルタレロ)としてイタリアに逆輸入される。
民族舞踊のサルタレロ
元来はナポリの宮廷ダンスであるが、チョチアリア地方で典型的な民族舞踊であり、ローマのカーニヴァルやモンテ・テスタッチオのワイン収穫祭での人気のある伝統の一つでもある。1831年にローマのカーニヴァルを見たドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーンは、彼の代表作の一つイタリア交響曲の終楽章にこの舞曲を用いている。北イタリアではサルタレロの唯一の例は、ロマーニャ地方のsaltarello romagnoloである。
中世のサルタレロ
イタリア中世のサルタレロの音楽の主な資料は、14世紀と15世紀初頭のトスカーナ地方の自筆楽譜である(大英図書館Add. 29987)。 ここに含まれる4曲の初期サルタレロの音楽はエスタンピーの音楽と同じ様式である。この中の2曲目のサルタレロは音楽上、比較的新しい様式である。歴史的演奏法を実践するグループ以外でも、この曲はゴシック=ポップやメタル、ロマンティック=中世音楽のバンドにカバーされており、有名なバージョンとしてはデッド・カン・ダンスによるものや、ポーランドのジャズ・ピアニストLeszek Możdżerによるものがある。
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