サッカーセルビア代表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/21 08:26 UTC 版)
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|---|---|---|---|---|
| 国または地域 | |
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| 協会 | セルビアサッカー協会 | |||
| FIFAコード | SRB | |||
| 愛称 | Орлови (Eagles) | |||
| 監督 | |
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| キャプテン | アレクサンダル・ミトロヴィッチ | |||
| 最多出場選手 | ドゥシャン・タディッチ[1](111試合) | |||
| 最多得点選手 | アレクサンダル・ミトロヴィッチ[1](63得点) | |||
| ホームスタジアム | スタディオン・ツルヴェナ・ズヴェズダ | |||
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| 初の国際試合 | 2006年8月16日対チェコ 3-1 |
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| 最大差勝利試合 | 2007年10月17日対アゼルバイジャン 6-1 2008年11月19日対ブルガリア 6-1 2012年9月11日対ウェールズ 6-1 2009年10月10日対ルーマニア 5-0 |
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| 最大差敗戦試合 | 2012年10月12日対ベルギー 0-3 |
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| FIFAワールドカップ | ||||
| 出場回数 | 3回(初出場は2010) | |||
| 最高成績 | グループリーグ敗退 (2010, 2018, 2022) | |||
| UEFA欧州選手権 | ||||
| 出場回数 | 1回 | |||
| 最高成績 | グループリーグ敗退 (2024) | |||
サッカーセルビア代表(サッカーセルビアだいひょう、Фудбалска репрезентација Србије)は、セルビアサッカー協会(FSS)によって構成される、セルビアのサッカーのナショナルチームである。
歴史
2000年代 - 2010年代
2006年5月、モンテネグロのセルビア・モンテネグロからの独立の宣言、同独立のセルビアからの承認、及び欧州連合を初めとする国際社会の承認を経て、平和裏にモンテネグロの独立が達成され、1992年から継続してきた従来のセルビア・モンテネグロ(2003年まではユーゴスラビア連邦共和国)を解体した。これに伴いサッカーのナショナルチームも分裂し、新たにセルビア代表が誕生した。ただし、モンテネグロの独立が成立したのは2006 FIFAワールドカップ直前であったため、同大会には既に消滅していた国家、セルビア・モンテネグロ代表として出場した(3戦全敗でグループリーグ敗退)[2]。
セルビア・モンテネグロ代表の経歴はセルビア代表に継承された。このため、セルビア・モンテネグロ代表として既に登録されていたUEFA欧州選手権2008予選にはセルビア・モンテネグロが登録していたグループAから出場した。同予選では下位のカザフスタンに敗れるなど勝ち点を伸ばせず、ポーランド、ポルトガルに次ぐ3位となり、UEFA欧州選手権2008本大会への出場を逃した。この結果を受けて、2006年7月からチームを率いていたスペイン人監督のハビエル・クレメンテが解任された。
クレメンテの後任にはセルビア人監督であるミロスラヴ・ジュキッチが就任したが、成績不振のためわずか半年余りで解任。同じくセルビア人のラドミル・アンティッチが代表監督となり、2010 FIFAワールドカップ出場を懸けて欧州予選にグループ7から出場した。同組はフランス、ルーマニア、リトアニア、オーストリア、フェロー諸島であったが格上と思われたフランスを上回る成績を残し、モンテネグロと分離して以来初の本大会進出を決めた[3]。
本大会では初戦のガーナ戦に0-1で敗戦したが、第2戦のドイツ戦では38分にミラン・ヨヴァノヴィッチのボレーシュートで先制すると、その後もGKヴラディミル・ストイコヴィッチの活躍などもあってドイツの反撃を抑えて1-0で12年ぶりの勝利を収め、決勝トーナメント進出に望みを繋いだ[4]。しかし、第3戦のオーストラリア戦では終始オーストラリアのリードを許す展開となると、終了間際にマルコ・パンテリッチが1点を返すも1-2で敗戦し、1勝2敗でグループ4位となりグループリーグでの敗退が決まった[5]。
UEFA EURO 2012、UEFA EURO 2016では予選、2014 FIFAワールドカップは欧州予選でそれぞれ敗退したが、2018 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選ではD組1位となり2大会ぶりのワールドカップ出場を決めた。本大会ではグループEに入り、初戦のコスタリカ戦では1-0で勝利した。だが、2戦目のスイス戦では先制したものの後に逆転され、1-2で敗れた。3戦目のブラジル戦でも0-2と敗れ、1勝2敗の3位に終わりグループリーグ敗退となった。
2020年代
2022 FIFAワールドカップ欧州予選では最終節でポルトガルを破り本大会出場を決める[6][7]。本大会ではグループGに入り、初戦のブラジル戦では0-2で敗れた。ブラジル戦でのセルビア側のロッカールームに、コソボをセルビアの一部と示し、「我々は降伏しない」というフレーズが書かれた旗が掲げられた事をFIFAが問題視し、後に罰金を科されている[8]。2戦目のカメルーン戦では互いに点の取り合いとなり、3-3の引き分けにもつれ込む。3戦目のスイス戦では2-3と敗れ、1分2敗でグループ最下位に終わった。
予選を突破し本大会進出を決めた2024年の欧州選手権は、初戦のイングランド戦を0-1で落とす[9]。この試合ではセルビアのサポーターが、イングランド代表の選手に対し人種差別的行為を行ったとして、UEFAが調査に乗り出すと発表している[10]。続く2戦目のスロベニア戦は先制を許したものの、試合最終盤にルカ・ヨヴィッチが劇的な同点ゴールを決めて追い付き、1-1の引き分け[11]。この試合中にはセルビアのファンがスロベニア代表の選手に向けてカップやボトルを投げ込む事件も起きている[12][13]。グループリーグ突破のかかった3戦目のデンマーク戦は0-0のスコアレスドローに終わり、2分1敗の成績でグループ最下位の成績で敗退となった[14]。大会期間中には代表メンバーのヴァンヤ・ミリンコビッチ=サビッチがファンとトラブルになり[15]、大会開始前の公開練習中にもファンが乱入し、警備員に向けて発煙筒を投げ込むなどのトラブルも起きていた[16]。
2026 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選のアンドラ戦でセルビアのファンによる人種差別的なチャントが発生した事によって、イングランド戦はホームスタジアムの15%はホームファンの立ち入り禁止となった[8]。そのイングランド戦は0-5のスコアで惨敗したが、試合中にはエズリ・コンサに向けてセルビアのファンが観客席からレーザーを照射し、試合が一時中断した[17]。ホームで開催されたアルバニア戦は0-1で敗れ、監督のドラガン・ストイコビッチが試合終了後の記者会見にて辞任を表明した[18][19][20]。
上述の通り、2010年、2018年、2022年のワールドカップ、UEFA EURO 2024と主要大会では全てグループステージ敗退となっている[21]。
成績
FIFAワールドカップ
| 開催年 | 結果 | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| グループリーグ敗退 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 3 | |
| 予選敗退 | |||||||
| グループリーグ敗退 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 4 | |
| 3 | 0 | 1 | 2 | 5 | 8 | ||
| 通算 | 最高成績 : グループリーグ敗退 4大会中/3回出場 |
9 | 2 | 1 | 6 | 9 | 15 |
UEFA欧州選手権
| 開催年 | 結果 | 試 | 勝 | 分 | 負 | 得 | 失 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 予選敗退 | |||||||
| グループリーグ敗退 | 3 | 0 | 2 | 1 | 1 | 2 | |
| 通算 | 最高成績 : - 5大会中/1回出場 |
3 | 0 | 2 | 1 | 1 | 2 |
歴代監督
| 期間 | 名前 | 試合 | 勝 | 分 | 負 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2006-2007 | 16 | 7 | 7 | 2 | ||
| 2007-2008 | 5 | 0 | 2 | 3 | ||
| 2008-2010 | 18 | 13 | 3 | 8 | 2010 FIFAワールドカップ出場 | |
| 2010-2011 | 13 | 5 | 3 | 5 | ||
| 2011-2012 | 5 | 2 | 1 | 2 | 暫定監督 | |
| 2012-2013 | 19 | 7 | 4 | 8 | ||
| 2014 | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
| 2014 | 4 | 0 | 2 | 2 | ||
| 2014-2016 | 11 | 5 | 0 | 6 | ||
| 2016-2017 | 15 | 8 | 5 | 2 | ||
| 2017-2019 | 19 | 9 | 5 | 5 | 2018 FIFAワールドカップ出場 | |
| 2019-2021 | 14 | 6 | 5 | 3 | ||
| 2021- | 31 | 19 | 6 | 6 | 2022 FIFAワールドカップ出場 |
歴代選手
主要大会のメンバー
主な代表選手
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歴代記録
※本記録は、ユーゴスラビア代表およびセルビア・モンテネグロ代表時代も含まれる。
出場数ランキング
| 順位 | 名前 | 出場 | 得点 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ドゥシャン・タディッチ | 111 | 23 | 2008- |
| 2 | ブラニスラヴ・イヴァノヴィッチ | 105 | 13 | 2005-2018 |
| 3 | アレクサンダル・ミトロヴィッチ | 104 | 63 | 2013- |
| 4 | デヤン・スタンコビッチ | 103 | 15 | 1998-2013 |
| 5 | サボ・ミロシェビッチ | 102 | 37 | 1994-2008 |
| 6 | アレクサンダル・コラロヴ | 94 | 11 | 2008-2020 |
| 7 | ドラガン・ジャイッチ | 85 | 23 | 1964-1979 |
| 8 | ドラガン・ストイコビッチ | 84 | 15 | 1983-2001 |
| ヴラディミル・ストイコヴィッチ | 0 | 2006-2018 | ||
| 10 | ゾラン・トシッチ | 76 | 11 | 2007-2016 |
得点数ランキング
| 順位 | 名前 | 得点 | 出場 | 期間 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | アレクサンダル・ミトロヴィッチ | 63 | 104 | 2013- |
| 2 | スティエパン・ボベク | 38 | 63 | 1946-1956 |
| 3 | ミラン・ガリッチ | 37 | 51 | 1959-1965 |
| ブラゴイェ・マリャノヴィッチ | 58 | 1926-1938 | ||
| サボ・ミロシェビッチ | 102 | 1994-2008 | ||
| 6 | ライコ・ミティッチ | 32 | 59 | 1946-1957 |
| 7 | ドゥシャン・バイェヴィッチ | 29 | 37 | 1970-1977 |
| 8 | トドル・ヴェセリノヴィッチ | 28 | 37 | 1953-1961 |
| 9 | プレドラグ・ミヤトヴィッチ | 27 | 73 | 1989-2003 |
| 10 | ボラ・コスティッチ | 26 | 33 | 1956-1964 |
トラブル・問題
2025年9月にBBCが報じた情報によると、セルビアサッカー協会(FSS)は過去5年間でFIFAとUEFAから60万ポンド以上の罰金を科せられたという[8]。FSSの事務局長であるブランコ・ラドゥイコによるとFSSはUEFAの特別監視下にあるという[8]。またセルビアのサポーターは度々問題となる行動を起こし続けており、2024年にはアルバニアに対しての差別的言動およびアルバニア国旗を燃やそうとしたサポーターの問題行動に対して、ホームゲーム2試合でスタジアムの一部が閉鎖とアウェイ戦でのセルビアのサポーターへのチケット販売が禁止されている[8]。2023年に行われたUEFA EURO 2024予選でのモンテネグロ戦でも試合中にセルビアのサポーターから人種差別的なチャントが発生した為、UEFAからホームでの試合の無観客開催という処分を科されている[24][8]。またU-21サッカーイングランド代表の選手は2度セルビアのサポーターから黒人差別的なチャントを受けており、2007年にネドゥム・オヌオハ、2012年にはダニー・ローズが被害を受けた[8]。ローズは試合中セルビアのサポーターからモンキーチャント(猿の鳴き声)を浴びせられ、石を投げつけられたと述べている[8]。
またBBCはセルビアのサポーターについて、代表戦が行われる際にはウルトラスの集団が中心となって率いてチームへ応援するが、「コソボはセルビアの心」というチャントが歌われ、アルバニア人、クロアチア人、ボスニア系ムスリムに対して侮辱的で差別的なチャントも歌われていると報じている[8]。
コソボにルーツを持つ代表選手が多いスイス代表との試合でも度々トラブルが生じている[25]。
脚注
- ^ a b ユーゴスラビア代表およびセルビア・モンテネグロ代表時代も含む。
- ^ “セルビア・モンテネグロ代表 / サッカー - TSP SPORTS”. www.tsp21.com. 2025年10月21日閲覧。
- ^ uefa.com (2009年10月12日). “セルビア、攻撃サッカーの徹底を宣言”. 2009年10月18日閲覧。
- ^ Serbia make Germany pay the penalty - UEFA.com 2010年6月25日閲覧
- ^ Serbia succumb to Australia - UEFA.com 2010年6月25日閲覧
- ^ Co.,Ltd, livedoor (2021年11月15日). “ポルトガルが首位攻防戦に敗れてプレーオフへ…劇的勝利のセルビアが本戦出場!”. サッカーキング. 2025年10月21日閲覧。
- ^ “ポルトガル指揮官、ロナウド幻決勝ゴールに「あってはならない」”. www.afpbb.com. 2025年10月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “Serbia call for fans to behave after punishment”. BBC SPORT (2025年9月8日). 2025年9月8日閲覧。
- ^ “前回ファイナリスト・イングランドがEURO白星発進!! ベリンガム弾で“ピクシー”率いるセルビアに勝利”. ゲキサカ. 2024年6月17日閲覧。
- ^ “セルビアサポーター、イングランド選手に対し人種差別的行為 UEFAが調査開始”. 日刊スポーツ. 2024年6月18日閲覧。
- ^ “ヨヴィッチがチームを救う劇的同点弾! セルビア代表が後半ATのゴールでスロベニア代表と引き分ける”. サッカーキング. 2024年6月21日閲覧。
- ^ “Serbia fans pelt Slovenia players with cups and bottles in dramatic draw”. The Times. 2024年6月20日閲覧。
- ^ “Slovenia 1-1 Serbia: Luka Jovic scores dramatic late equaliser for Serbs, who climb down from threat to QUIT Euro 2024 as their fans pelt Jan Oblak with plastic cups”. Daily Mail. 2024年6月20日閲覧。
- ^ “デンマーク、スコアレスドローも2位で決勝T進出! ピクシー率いるセルビアは敗退決定”. サッカーキング. 2024年6月26日閲覧。
- ^ “セルビア代表GKがユーロ2024参戦中にバーで同胞ファンと殴り合い寸前…ストイコビッチ監督が帰国会見で示唆し発覚”. スポーツブル. 2024年6月28日閲覧。
- ^ “セルビアサポーターがピッチ乱入、公開練習が一時中断に…ドイツ警察はイングランド戦を厳重警戒”. サッカーキング. 2024年6月14日閲覧。
- ^ “Ref paused Serbia v England after laser incident”. BBC (2025年9月10日). 2025年9月10日閲覧。
- ^ “ピクシー、セルビア代表監督辞任を表明…3大会連続のW杯出場をかけた大一番で黒星「全責任は私にある」”. サッカーキング (2025年10月12日). 2025年10月12日閲覧。
- ^ “セルビア代表ストイコビッチ監督が辞任を表明 ホームでアルバニアに痛恨の敗戦”. 日刊スポーツ (2025年10月12日). 2025年10月12日閲覧。
- ^ “セルビア協会がストイコビッチ監督の辞任を発表 辞意表明を受けてU―21代表監督を暫定指揮官に指名”. スポニチ (2025年10月12日). 2025年10月12日閲覧。
- ^ “主要大会でGS敗退を繰り返すセルビア代表…ユーゴスラビア時代以来のタレント集団でユーロ初出場も最下位終戦”. スポーツブル. 2024年6月26日閲覧。
- ^ “Serbia international footballers” (英語). eu-football.info. 2019年9月13日閲覧。
- ^ “Serbia national football team goal scorers” (英語). eu-football.info. 2019年9月13日閲覧。
- ^ “Serbia, Montenegro punished for fan slurs at Euro 2024 game”. FOX SPORTS (2023年5月10日). 2023年5月10日閲覧。
- ^ “Why are Serbia and Switzerland rivals? European nations to go head-to-head in Group G at the Qatar World Cup”. talkSPORT (2022年12月1日). 2022年12月1日閲覧。
関連項目
- セルビアのサッカー
- セルビア・スーペルリーガ
- サッカーモンテネグロ代表
外部リンク
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