コロナの物理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:34 UTC 版)
太陽大気の外部にある物質は、非常に高い温度と非常に低い密度のプラズマ状態にある。プラズマの定義は、集団的な振る舞いを示す準中性の粒子の集合体である。 その組成は、太陽内部に似て主に水素であるが、光球に見られるものよりはるかに高く電離している。鉄のような重い金属は、部分的にイオン化され、外部電子のほとんどを失っている。元素のイオン化状態は温度に厳密に依存しており、最下層大気ではサハ方程式によって調整されているが、光学的に薄いコロナでは衝突平衡によって調整されている。歴史的には、鉄の高階電離状態から放出されるスペクトル線の存在により、コロナプラズマの高温が知られるようになり、コロナが彩層の内側の層よりもはるかに高温であることが明らかとなった。 コロナは、非常に高温で軽い気体のような振る舞いを見せる。コロナ内の圧力は、活動領域では通常0.1 - 0.6 パスカル (Pa) と、地球表面の約10 hPaに比べて100万分の1の気圧しかない。しかしコロナは、基本的に陽子と電子という荷電粒子が異なる速度で運動しているため、正しくは気体ではない。エネルギー等配分の法則に基づき、平均的に同じエネルギーを持っていると仮定すると、電子は陽子の1800分の1の質量しか持っていないため、より多くの速度を得ることができる。金属イオンは常により遅い。この事実は、光球とは全く異なる放射過程や熱伝導に関連した物理的な影響を与えている。さらに、電荷の存在は、電流と高磁場の発生を誘導する。電磁流体波(MHD波動)もまた、コロナ内でどのように伝導したり生成されたりするのかまだ明らかにされていないが、このプラズマ内を伝播することができる。
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