コウノトリとの類似性と違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 15:58 UTC 版)
ウクライナ語でコウノトリは"лелека"である。日本や中国などでツルとコウノトリがしばしば混同されてきたように、ウクライナでもツルはしばしばヨーロッパコウノトリ(シュバシコウ)と混同される 上記のようにツルがウクライナの国鳥とされることもあるが、通常、ウクライナの国鳥はコウノトリとされ、コウノトリは非常に神聖視される鳥である。2008年のウクライナのオリンピックチームのマスコットもコウノトリのキャラクターである。ホロドモールやホロコーストの時代でさえ、決して食用に殺されることがなかった。 春、赤ん坊、平和、家庭、忠誠、愛国などのシンボルであり、ウクライナのお守り(uk:Оберіг)である。家を悪から守ってくれるお守りの一種と考えられ、もしコウノトリが家の屋根に巣を作れば幸運が訪れるといわれる。これらのコウノトリのシンボルのうち、春、赤ん坊、家庭、平和などはツルのシンボルとされることもある。 このような表象を持つことから、2022年ロシアのウクライナ侵攻の際、キーウのSviatoshynskyi地区(ウクライナ語版)の課外活動センターでは美術サークル「鶴(Журавлик)」が、ツルおよびコウノトリはウクライナの古来からのお守り(оберіг)であるとして、155羽の折り鶴でウクライナの地図を覆って戦勝を祈願する様子が見られた。 民間信仰ではコウノトリの"лелека"の名前は、愛と善良の女神uk:Леляからとったとされる。ツルが赤ん坊の魂をвиріюから運んでくるのに対し、他のヨーロッパの地域と同様に、ウクライナでもコウノトリは子供を運んでくると言われるが、これはЛеляが愛を司る女神で、子供は愛から生まれてくるからだと説明される。 ウクライナではコウノトリ"лелека"は地域による別名が非常に多い鳥で、"боцюн", "боцян", "бузько", "бусел", "бусол", "бусьо", "веселик", "гайстер", "чорногуз"、"бусьок", "чугайстер"といったものがある。このうち、"веселик"はツルとコウノトリ両方の別名となっている。さらに、Чорненький 2009では、"лелека", "журавель", "чорногуз"を同義語としている。鶴の持つ、結婚式や幸せな結婚生活といった表象は、地域によってはコウノトリや"веселик"が持つ場合もある。 後述の結婚式の踊り『ツル』を研究したКурочкін 2002によれば、ツルとコウノトリは上記のように表象の類似性を持っているが、地域性以外に役割に一定の違いがあり、コウノトリがすでに生まれた子供を連れてくるという意味合いなのに対し、ツルは元来はその前段階の性交、受精を暗示している。
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