キンゼイ報告とその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:54 UTC 版)
「アルフレッド・キンゼイ」の記事における「キンゼイ報告とその後」の解説
1948年と1953年、アメリカの白人男女約18,000人の性に関する調査報告、いわゆるキンゼイ報告を発表。性科学の分野の地平を開いた。報告は数年にも及ぶ膨大なアンケートと面接調査をもとにしたものであった。 成人男性の三割・成人女性の二割は同性愛的傾向を持つこと、女性もマスターベーションをすること、精子の飛距離を測定し勢いよく子宮に浴びせなくても妊娠率には影響しないことなどを発表し一大センセーションを巻き起こす。当初は反発を受けたが、信仰に基づいた性の「かくあるべき」という通念を排し、実際に「どうあるか」を知らしめたことで、その後の医学の発展や女性の権利向上に大いに影響を与えたとされる。また、膣の収縮には肛門括約筋が関係していることを発見した。 しかし、実際は「ランダム」であるべきサンプルの内の25%は刑務所にいたことのある前科犯、5%は男娼であることなどバイアスがかかっているという批判もある。一方で、これらのバイアスを取り除いても似たような結果になるという再反論も存在する。また別の批判として、社会的タブーの情報を面接で収集すると、そのようなタブーを躊躇無く論じることが出来る者がサンプルに多く含まれる、よって面接による収集という手法そのものがこのような内容の問題においてはバイアスであり、サンプルから全体を推察するという統計の目的上は無意味であるという批判が報告の出版当時から学者の間で存在した。 このように、多くの論争を招いたキンゼイ報告だが、現在でもその内容が引用されることが多く、もっとも重要な調査文献の一つとなっている。
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