キリスト教における預言者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 08:13 UTC 版)
キリスト教はユダヤ教の伝統から出現したナザレのイエスの活動から始まる宗教であり、旧約聖書に記された預言者たちをユダヤ教と同様に預言者と認める。ニカイア・コンスタンティノポリス信条では「聖霊は……預言者をもってかつて語った」と告白する。 キリスト教では、イエス自身をいわゆる預言者とは区別し、神の子にして救世主(メシア)(この場合はイエス・キリスト)であると信じる。ただし、イエスをその働きゆえに「預言者」と呼ぶこともある(使徒7:37)。新約聖書の使徒言行録や書簡などの文書からは、預言の活動自体は初期のキリスト教会(初代教会)でも行われ、預言を行う信徒らが当時「預言者」として認められていたことがうかがえる。エルサレムからアンテオケに預言者たちが移動し、このうちの1人であったアガボは大きな飢饉が訪れることを預言し、それが成就したことが記されている。このアガボは、後にパウロが捕縛され異邦人に引き渡されることも預言した。初めて異邦人への公の宣教師として派遣されたパウロとバルナバも、預言者や教師のグループに属し(使徒13:1)、エルサレム会議での大切な決定事項を伝えるために、異邦人の諸教会に派遣されたユダとシラスも預言者であった。このシラスは、パウロの第2回目の伝道旅行に同行した。またパウロ書簡(エフェソの信徒への手紙)の中で「あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。」と語られているように、初代教会において預言者の役割は、使徒に次ぐ大切な働きとされていたことがわかる。 正教会では「聖預言者」の称号を付して記憶する。 「Category:正教会の聖人の称号」も参照 キリスト教から派生したモルモン教では、自派の指導者(大管長)を「預言者」と称している。
※この「キリスト教における預言者」の解説は、「預言者」の解説の一部です。
「キリスト教における預言者」を含む「預言者」の記事については、「預言者」の概要を参照ください。
- キリスト教における預言者のページへのリンク