キャロル・ギリガンと『もうひとつの声』
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「ケアの倫理」の記事における「キャロル・ギリガンと『もうひとつの声』」の解説
ケアの倫理を立ち上げた一人として、アメリカの倫理学者・心理学者のキャロル・ギリガンが挙げられる。ギリガンは発達心理学者のローレンス・コールバーグの学生だった。ギリガンは師の提唱した道徳性発達理論に異をとなえ、自らの道徳理論を作り上げた。彼女によれば、コールバーグのモデルによる観察方法をとると、男の子は女の子に比べ道徳的により成熟しており、成人についても男性が女性より道徳的に優れた判断をする、という結果が得られるようになってしまうという(ただし、対象者の教育条件を操作した場合にはジェンダー間の差は見られなくなる)。 ギリガンはまた、コールバーグのモデルは道徳発達の尺度として客観的ではないと論じた(しかし、他の研究者の中にはこの尺度は心理統計学的に見て根拠のあるものだとする見方もある)。この尺度は、道徳についての男性的な観点を反映しており、正義や抽象的な責務・義務という観念に基いていると彼女は考えた。 ギリガンの『もうひとつの声』は、男性と女性は道徳を異なった観点から捉える傾向にあるという見方をもたらした。彼女の理論によれば、女性はコールバーグの理論でより優れているとされる道徳的観念よりも、共感や同情をより重視する傾向にあるという 。ギリガンに続く研究によると、倫理に対するアプローチとしてケア志向と正義志向のどちらになるかはジェンダー(性)の差によるものであるか、両ジェンダーが実際の生活においてどのような状況に置かれているかによって定まるものだとされる。 教育研究者のネル・ノディングズはケアの倫理を体系的に論じた。
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