カリコテリウムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 生物 > 古生物 > 更新世の哺乳類 > カリコテリウムの意味・解説 

カリコテリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/14 13:29 UTC 版)

カリコテリウム
生息年代: 新生代古第三紀漸新世後期 - 新第三紀鮮新世前期
28.4–3.6 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
Chalicotherium goldfussiの顎
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約2,840万 ~ 約360万年前[注 1]
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 奇蹄目 Perissodactyla
: カリコテリウム科 Chalicotheriidae
亜科 : カリコテリウム亜科 Chalicotheriinae
: カリコテリウム属 Chalicotherium
学名
Chalicotherium
Kaup1833
模式種
Chalicotherium goldfussi
Kaup, 1833
シノニム
  • Macrotherium Pictet, 1844

カリコテリウムChalicotherium)は、新生代中新世から鮮新世アジアからアフリカにかけて分布していた、鉤足亜目カリコテリウム科に属する奇蹄目の属[1]。模式種(en)は鮮新世のヨーロッパに分布していた Chalicotherium goldfussi

分類

模式種(C. goldfussi)のタイプ標本は現在のドイツアルツァイ=ヴォルムス郡から産出し、1833年に Johann Jakob Kaup によって記載された[注 2]。この時見つかった歯の化石が小石のような形状をしていたことに因んで、「小石の獣」を意味する「カリコテリウム」と命名された[2]。また、フランスジェール県で発見された化石に基づき、1837年に Édouard LartetMacrotheriumという学名を与えている[注 3]。その後、Henri Filhol によるさらなる調査研究の結果、それまで Macrotherium とされていた化石群のうちいくつかが本属に改められた[注 4][4]

また、標本の中には当初は本属として扱われていたが、のちにカリコテリウム科の別属に分類されたり、北米大陸に生息していたメガセロプス属のタイプ標本として樹立された事例も存在する[要出典]en)。

近縁属に、北米大陸に分布していたモロプスや、ヨーロッパに分布した Kalimantsiaen)などが存在した[2]

特徴

C. brevirostris の復元図

以下は、模式種(C. goldfussi)について解説する。

肩高は2.6メートルほど[2]。体型はウマに似るが、の代わりに鉤爪を持つのが特徴[5]。通常はこの爪を保護するように、ゴリラオオナマケモノなどと類似したナックル・ウォーキング英語版で歩いていたと推測されている[2][5]。前脚が後脚に比べ極端に長く、そのため下半身へかけて背中が著しく傾斜するのも特徴。

長い腕と鉤爪を駆使し、木の葉を枝から手繰り寄せて食べていたと推測される。前脚の鉤爪は外敵に対する防御の役割も果たしたかも知れない。

寒冷化や乾燥化により、温暖な森林の規模が縮小したことで生息域を失って絶滅したと考えられている[5]

カリコテリウム属は中新世の陸棲哺乳類では比較的に大型の部類であり、アンフィキオンなどの当時の頂点捕食者以外に主立って捕食対象にされる可能性は低かった可能性がある[2]

有効種

非有効種

  • Chalicotherium antiquum Kaup, 1833 - C. goldfussi と共に発見され、後に同一化された

脚注

注釈

  1. ^ 新生代古第三紀漸新世後期(チャッティアン) - 新第三紀鮮新世前期(ザンクリアン
  2. ^ これらの爪の化石を受け取ったジョルジュ・キュヴィエは、当初は巨大な鱗甲目(センザンコウ)に分類した[1]
  3. ^ Macrotherium Lartet, 1837自体は裸名とされ、Macrotherium Pictet, 1844が適格名として扱われる[3]
  4. ^ たとえば、C. salinumClive Forster-Cooper の原記載では Macrotherium salinum であった[3]

出典

  1. ^ a b “Pittsburgh Boasts of Complete Skeleton of the Chalicotherium”. The San Antonio Express 46 (125): pp. 3. (1911年5月5日). https://commons.wikimedia.org/wiki/File:San_Antonio_Express._(San_Antonio,_Tex.),_Vol._46,_No._125,_Ed._1_Friday,_May_5,_1911_-_DPLA_-_439279cac63683e0b9ab35f6d2626412_(page_3).jpg 2024年11月13日閲覧。 
  2. ^ a b c d e Chalicotherium”. Prehistoric Wildlife. 2024年11月13日閲覧。
  3. ^ a b c Sein, Chit; Thein, Tin (2014). “A New Record of Chalicotherium from the Irrawaddy Formation in Migyaungye Area, Magway Region”. Universities Research Journal 6 (5): 207-218. https://www.researchgate.net/publication/266262627. 
  4. ^ Anquetin, J., Antoine, P.-O., Tassy, P. (2007). Middle Miocene Chalicotheriinae (Mammalia, Perissodactyla) from France, with a discussion on chalicotheriine phylogeny, Zoological Journal of the Linnean Society, Volume 151, Issue 3, Pages 577–608, doi:10.1111/j.1096-3642.2007.00327.x.
  5. ^ a b c 川崎悟司『絶滅したふしぎな巨大生物』PHP研究所、2011年6月10日、162-163頁。ISBN 978-4-569-79636-9 
  6. ^ Kaup, J.-J. (1833). Description d'ossements fossiles de mammifères inconnus jusqu'à-présent, qui se trouvent au Muséum grand-ducal de Darmstadt; avec figures lithographiées. II. Darmstadt: J. G. Heyer.
  7. ^ Yan Liu & Zhaoqun Zhang (2012). New materials of Chalicotherium brevirostris (Perissodactyla, Chalicotheriidae) from the Tunggur Formation, Inner Mongolia. Geobios. Volume 45, Issue 4, Pages 369-376. doi:10.1016/j.geobios.2011.10.011.

カリコテリウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 10:17 UTC 版)

ジーンダイバー」の記事における「カリコテリウム」の解説

350万年前のエチオピア生息

※この「カリコテリウム」の解説は、「ジーンダイバー」の解説の一部です。
「カリコテリウム」を含む「ジーンダイバー」の記事については、「ジーンダイバー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「カリコテリウム」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カリコテリウム」の関連用語

カリコテリウムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カリコテリウムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカリコテリウム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのジーンダイバー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS