カナダの提案
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 00:20 UTC 版)
「シャクルトン=ローウェット遠征」の記事における「カナダの提案」の解説
シャクルトンは南極から北に目を向けることにし、「ボーフォート海と呼ばれる大きな空白地帯を埋める」ことにした。北極海のこの地域は、アラスカ州の北、カナダ北極多島海の西にあり、ほとんど探検されていなかった。シャクルトンは、潮汐の記録を元に、この海には未発見の陸地があり、「世界にとっては、経済価値の可能性以外にも最大級の科学的興味がある」と考えていた。また北極海の最も陸から遠い地点である北到達不能極に達する期待もあった。1920年3月、その計画が王立地理学会の総論承認を得て、カナダ政府の支持も得た。これをもとにシャクルトンは、5万ポンド(2008年換算で160万ポンド)と推算した必要な資金の調達に取り掛かった。その年の後半、シャクルトンは偶然昔の級友ジョン・クイラー・ローウェットと出逢い、シャクルトンが計画に取り掛かることを可能にする中核となる金を出すという合意を貰った。1921年1月、シャクルトンはこの金をもとに、ノルウェーの木造捕鯨船フォカIを取得し、さらにその他の装置を購入し、乗組員を雇用する段階に進んだ。 1921年5月、カナダの計画が放棄された。この遠征の資金を出すというカナダ政府の方針は、新首相アーサー・ミーエンがシャクルトンの提案への支持を取り消したことで、変更された。シャクルトンの反応は遠征そのものを取り消すことではなく、その方向を変えることだった。5月半ば、シャクルトンの仲間で、カナダでは犬の購入の交渉に当たっていたアレクサンダー・マクリンが、目的地は南極にするということを知らせる電報を受け取った。ボーフォート海探検の代わりに、南極海での修正された探検計画、海岸の地図化、鉱物資源の探索、海洋学研究が提示されていた。
※この「カナダの提案」の解説は、「シャクルトン=ローウェット遠征」の解説の一部です。
「カナダの提案」を含む「シャクルトン=ローウェット遠征」の記事については、「シャクルトン=ローウェット遠征」の概要を参照ください。
- カナダの提案のページへのリンク