カトリック系の聖書翻訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 18:59 UTC 版)
宗教改革以降、聖書翻訳を推し進めていたプロテスタントに対してカトリック側も聖書翻訳を行うようになるのだが、「ウルガタ」ラテン語聖書からの翻訳という一線は常に守られていた。たとえば、1582年のドゥエ・ランス聖書はウルガタからの翻訳である。 1943年になってローマ教皇ピウス12世は回勅「ディヴィノ・アフランテ・スピリトゥ」(Divino Afflante Spiritu)を出し、原語のヘブライ語やギリシア語のから聖書翻訳行うことを促した。こうして、ようやくギリシャ語・ヘブライ語からの各国語聖書翻訳が開始されることになる。一番有名なのは エルサレム・フランス聖書考古学学院を中心にフランス語圏カトリック系研究者たちが総力をあげて翻訳したエルサレム聖書であろう。1948年から順次出版されて1956年に一冊にまとめられたものであり、豊かな注釈と解説を含むこの翻訳は学問的にも高く評価されて英語やドイツ語に重訳されたほどである。アメリカでは1970年に新アメリカ聖書(NAB)が出版されて、これも高く評価された。また、日本ではフランシスコ会が原語から日本語への翻訳を行い、これは「フランシスコ会訳聖書」という名前で知られている(1978年に完成)。カトリック側からこうした本格的な聖書翻訳が現れるようになり、共同訳事業が始まるようになるのである。
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