カットソーで用いられる生地の範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/28 06:31 UTC 版)
「カットソー」の記事における「カットソーで用いられる生地の範囲」の解説
カットソーの定義の意見の差は、「おしゃれさ」の度合いよりも、用いられる生地の範囲にあることが多い。下記に典型的な立場を列挙した。(下にいくほど、限定が厳しくなる。) a) 布全般: 編物の流し編みに加えて、布帛全般をも対象に含めて、それらの生地を裁断・縫製すること(英語の原義では、衣服そのものではなく、製造プロセスをさす。日本では通常この意味では用いられない。) b) 編物全般; よこ編み(緯編み)に加えてたて編み(経編み)も含めた編物全般の流し編み生地から裁断・縫製して作られた衣服 (布帛生地のものは除外) c) 丸編み全般: よこ編みの丸編み生地に限定 (たて編み生地のものは除外) d) 平編みの丸編み: 平編(天竺、メリヤス)の丸編みに限定し (フライス・スムースなど他の丸編み編地は除外) e) 開反した丸編み: 上記 c) d) で、さらに丸編み生地を開反した後に加工した衣服に限定 (開反しないで加工したものは除外) 語源ともいえる米国では、もっとも広い a) の意味での利用が一般的である が、日本ではより限られた意味に使うことがほとんどである。 生地の範囲でいうと、編物は、よこ編み(緯編み)とたて編み(経編み)に大別される。特によこ編みの流し編み製造法として、らせん状に編む丸編み が主流であり、筒状に編み立てたものを切り開いて平面的な生地とし(これを開反という)、それを裁断・縫製して衣服とすることが多い。 カットソーで使う生地の対象として、定義 b) では、編物生地全般を含み、c) では、丸編み、そして d) では、そのうちの平編のものだけとする。(よこ編み生地には、 平編に加えて、フライス、リブ、スムースなどの種類がある。一方、たて編み生地には、トリコットやラッセルなどがある。) また、e) の立場だと、「カット」の意味を流し編み生地の裁断加工ではなく、丸編み生地の開反作業に限定している。この立場の場合、丸編みの筒状の生地を開反することなく身頃に利用し、袖を縫い付け、首周り・裾を処理したTシャツは、カットソーの範疇に入らないことになる。 カットソー・Tシャツとして販売されていても、丸編み生地が常に利用されているとは限らない。衣服に高い機能性や「おしゃれさ」を求める場合、生地として他の選択肢が必要となることが多い。 たとえば、保温性が高いサーマルTシャツでは、しばしばワッフル地とハニカム地の生地が利用される。このうち、ワッフル地は、よこ編みの一種であるが、ハニカム地は、たて編みのラッセルである。したがって、上記 b) の立場だと両方がカットソーになるが、c) だとワッフル地のもののみが該当し、d) の立場だといずれもカットソーではなくなる。 「おしゃれさ」を追求する場合も、使える生地の多様性が求められる。たとえば、主に女性用衣料として、繊細ないしセクシーなテイストのカットソー(特に、ベアトップ、キャミソール、チュニックなど)では、別のインナーで透けを防止する重ね着スタイルでの着用を念頭に、トリコット、ラッセル、チュール、パワーネットなど、丸編み以外のニット素材を用いて、肌合いの柔らかさ、透け感、光沢、華やかさ、しなやかさ、フィット感などを演出することがある。 実際、高機能なたて編み生地のアウターへの導入は急激に進んでいる。たとえば、あるトリコット生地製造メーカーは、伸縮性の高い独自のトリコット生地に特徴があり、糸を購入して製造する自社製品販売のうち、約70%が婦人アウター向けで、下着など他用途向けを大きく上回っている。 ただ、生地や仕立て方がカットソーと同様であっても、ショーツやペチコート、スパッツなどの下着は、カットソーとは呼ばない。一方、キャミソールのように、下着とインナーの両方の側面がある衣類は、インナーの視点からの商品説明として、カットソーと呼ばれる。
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