カタクリの生活史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 10:58 UTC 版)
カタクリは、「春の妖精」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる植物の一つである。エフェメラルとは、もともと「はかない命」という意味で、カタクリが1年のうちで地上に出ている期間は、春先の2か月足らずに過ぎず、葉で光合成をして栄養分を鱗茎に蓄えて、夏には葉を枯らし、翌年の春まで土中の鱗茎のまま休眠状態で大半を過ごしている。光合成ができる期間が、1年のうちでわずか2か月ほどしかないため、栄養を蓄積するまでに長い時間を要してしまうことから、種子から発芽して花を咲かせるまでに8、9年ほどの歳月を必要とする。 発芽1年目の個体は細い糸状の葉を、2年目から7 - 8年程度までは卵状楕円形の1枚の葉だけで過ごし、鱗茎が大きくなり、2枚目の葉が出てから花をつける。カタクリは、毎年少しずつ鱗茎に養分を蓄積しながら、しだいに葉を大きくしてゆき、その結果、発芽から8 - 9年をかけてコツコツと貯めた栄養分で、ようやく花を咲かすことができる。開花初期は開花と結実がある有性生殖と結実がない無性生殖を繰り返し、個体が大きく成長した後は複数年に渡り開花が継続する。カタクリの平均寿命は40 - 50年ほどと推定されている。なお、鱗茎は毎年更新し、なおかつ旧鱗茎の下に鱗茎が作られるため鱗茎は深くなる。原則として鱗茎は分球することはない。通常栄養繁殖を行わない。 カタクリの葉にサビ菌 (Uromyces erythronii Pass.) が寄生し、「さび病」を起こし枯れてしまうことがある。落葉広葉樹林は約3,000万年前に形成され、カタクリの祖先はこの頃に落葉広葉樹林に出現しカタクリに進化したと考えられている。
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