オリンピックとの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 11:47 UTC 版)
「フレンドシップ・ゲームズ」の記事における「オリンピックとの比較」の解説
鉄のカーテンを隔てた両陣営のマスコミが、頻繁に2つの大会の結果の比較を試みた。 フレンドシップ・ゲームズで出された結果を考慮すれば、ロサンゼルスオリンピックに東側諸国の選手が出場していれば、60種目以上でメダルを確保できることになる。東側諸国の選手は陸上競技では41種目中20種目、競泳では29種目のうち11種目でロサンゼルスオリンピックの記録を上回った。また、射撃の50mランニング・ターゲット(英語版)でオリンピック金メダルを獲得した李玉偉(英語版)の記録は、フレンドシップ・ゲームズの同種目では6位に過ぎない。加えて、ウェイトリフティングやレスリングでは、この当時のトップレベルの選手のほとんどがフレンドシップ・ゲームズに出場したものの、オリンピックには参加しなかった。 しかし数名のジャーナリストは、両大会が異なったコンディションや施設にあることを顧慮に入れないこの類の比較は妥当でないと指摘した。例えば女子100mの記録でマルリース・ゲールがエベリン・アシュフォードを僅かながらも上回ったというが、フレンドシップ・ゲームズの翌週に開催された大会でアシュフォードはゲールを破って世界新記録を樹立している。同様に、東側諸国は自転車競技の記録でオリンピックの記録より良かったものの、フレンドシップ・ゲームズは室内の板張りのトラックで開催されており、オリンピックは屋外のコンクリート製トラックでの開催だった。アフロアメリカン紙(英語版)は次のように結論付けた。この種の比較は、まるでカール・ルイスがジェシー・オーウェンスより速く、モハメド・アリがジョー・ルイスより強く、競走馬のセクレタリアトがマンノウォーを振り切ると言ってるようなものだ。 両大会の比較は政治的な深刻さも伺えるものだった。フレンドシップ・ゲームズの主催者側はマスコミに、今大会がオリンピックの代替大会ではないことを執拗に確信させようとした。このような態度はIOCが規定する処罰を避けるためだとも推察される。 ソ連の国営メディアなどは、度々今大会とオリンピックとの対比を仄めかした 。タス通信はフレンドシップ・ゲームズがオリンピック年における一大イベントだったと言明した。ソビエトスキー・スポーツ紙は、フレンドシップ・ゲームズこそがここ4年間のオリンピックサイクルにおけるメインイベントであるかのように描写した 。ソ連オリンピック委員会会長のマラート・グラモフは、過度の熱狂と迷妄にまみれたロサンゼルスオリンピックとは対照的に、社会主義諸国はオリンピックムーブメントの結束を強める職務に忠実であったと述べた。 IOCのディレクターであるモニク・ベルリウーは、フレンドシップ・ゲームズについては何であれ応答するつもりはないと語った。
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