オペラ台本:グランド・オペラの中心人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 19:40 UTC 版)
「ウジェーヌ・スクリーブ」の記事における「オペラ台本:グランド・オペラの中心人物」の解説
スクリーブの「娯楽に適した台本を作る」才能はオペラの分野でも遺憾なく発揮され、19世紀前半パリでの支配的なオペラ様式「グランド・オペラ」にとって彼は不可欠の存在となった。 「歴史的背景はある程度押さえつつ、ドラマとしての面白味を史実に優先させる」という、舞台劇の項で指摘した彼の(あるいは「彼のチームの」)特質はここでも例えばオベールに書いた『ギュスターヴ3世』で見ることができる。1792年のスウェーデン国王グスタフ3世の暗殺はもちろん史実である。スクリーブはこれに「暗殺犯アンカーストロム伯爵の妻と国王との道ならぬ恋」というフィクションを織り交ぜて、面白いドラマに仕立てている。 また同じオベール『ポルティチの唖娘』台本では、1647年のナポリにおけるスペイン人支配層に対する住民の反乱と、1631年のヴェスヴィオ火山の大噴火という2つの史実が都合よく同一時点化されている。オペラ座における上演では、最終幕で舞台後景の火山が実際に花火仕掛で噴火し、流れ出た溶岩が舞台全面を覆うというスペクタクルをシセリとダゲールが演出し、大評判となった。 スクリーブの仕事はオペラ作曲家に台本を渡して一件落着ではなかった。舞台感覚に秀でた彼はリハーサルを厳しく監督したばかりか、初演での観客の反応次第では、台本のみならず音楽面にも大規模な手直しを入れさせることを厭わなかった。マイアベーアは『悪魔のロベール』の初演後、スクリーブに多くの箇所の修正を命じられている。この厳格な「品質管理」によって、スクリーブ台本のオペラは連夜の大入り満員が得られたのだともいえる。
※この「オペラ台本:グランド・オペラの中心人物」の解説は、「ウジェーヌ・スクリーブ」の解説の一部です。
「オペラ台本:グランド・オペラの中心人物」を含む「ウジェーヌ・スクリーブ」の記事については、「ウジェーヌ・スクリーブ」の概要を参照ください。
- オペラ台本:グランド・オペラの中心人物のページへのリンク