エルゴード理論
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エルゴード理論(エルゴードりろん、英語: ergodic theory)は、ある力学系がエルゴード的(ある物理量に対して、長時間平均とある不変測度による位相平均が等しい)であることを示す、すなわちエルゴード仮説の立証を目的とする理論。この仮説は、SinaiらのDynamical billiardsの例などで正しいという証明が与えられている。この仮説は統計力学における等重率の原理を説明すると期待されたが、疑問が持たれている[1]。また、物理学でのエルゴード性を抽象化した、数学における保測変換の理論をそう呼ぶこともある。
- 長時間平均
- 統計的、事象的、観察結果
- 位相平均
- 計算論的、収束するもの、あるいは一定のサイクルに収めることの出来るもの、全事象等確率的として推察できるもの
上記2つの平均が同じような値(あるいは関数)を得られるものについて、エルゴード的ということが出来る。
保測変換
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エルゴード理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:23 UTC 版)
エルゴード理論の分野では、カオス力学系の長期的振る舞いを研究する。エルゴード理論が有効な原型的な場合というのは、熱力学における系である。この系の微視的な状態は(微粒子の間の個々の衝突の集まりとしては理解できないという意味で)極めて複雑であるにも拘らず、十分長期間にわたるその平均的振る舞いは素直であり、熱力学の法則が主張するのはこのような平均的挙動である。特に、熱力学の第0法則は「十分長い時間スケールを経れば平衡状態にある熱力学系の、その機能的に独立な測度は、温度の形でのその全エネルギーのみである」などと定式化できる。 エルゴート力学系は、(ハミルトニアンで測られる)エネルギーを除けば、相空間上の機能的に独立な保存量を持たないような系である。詳しく述べれば、エネルギー E を固定して、ΩE をエネルギーが E となる状態すべてからなる相空間の部分集合(エネルギー面)とし、Tt で相空間上の発展演算子を表せば、力学系がエルゴードとなるのは、ΩE 上の定数でない連続関数で、ΩE の任意の w と任意の時間 t において f ( T t w ) = f ( w ) {\displaystyle f(T_{t}w)=f(w)} を満たすものがない場合に限る。リウヴィルの定理によれば、エネルギー面上の測度 μ で時間並進不変なものが存在する。結果として時間並進は、エネルギー面 ΩE 上の自乗可積分関数に内積を ⟨ f , g ⟩ L 2 ( Ω E , μ ) = ∫ E f g ¯ d μ {\displaystyle \langle f,g\rangle _{L^{2}(\Omega _{E},\mu )}=\int _{E}f{\bar {g}}\,d\mu } で入れたヒルベルト空間 L2(ΩE,μ) のユニタリ変換になる。 フォンノイマンの平均エルゴード定理の主張は次のようなものである。 Ut がヒルベルト空間 H 上のユニタリ作用素からなる(強連続)一径数半群で、P を Ut の同時不動点全体の成す集合{x∈H | Utx = x for all t > 0} の上への直交射影とすると P x = lim T → ∞ 1 T ∫ 0 T U t x d t {\displaystyle Px=\lim _{T\to \infty }{\frac {1}{T}}\int _{0}^{T}U_{t}x\,dt} が成り立つ。 エルゴード系では、時間発展の固定集合は定数関数のみから成るので、先のエルゴード定理から任意の f ∈ L2(ΩE,μ) に対し L 2 - lim T → ∞ 1 T ∫ 0 T f ( T t w ) d t = ∫ Ω E f ( y ) d μ ( y ) {\displaystyle {\underset {T\to \infty }{L^{2}\!{\text{-}}\!\lim {}}}{\frac {1}{T}}\int _{0}^{T}f(T_{t}w)\,dt=\int _{\Omega _{E}}f(y)\,d\mu (y)} となることが従う。つまり、観測可能な f の長期平均は、そのエネルギー面に亘ってとった期待値に等しい。
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