エッシャー的世界の展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 23:24 UTC 版)
「マウリッツ・エッシャー」の記事における「エッシャー的世界の展開」の解説
アルハンブラ宮殿の再訪以来、作風は一変する。再度繰り返し模様の作品に挑戦しはじめたのである。数学的な趣向の強い、同じ時代のどんな種類の作家にも見られない特有な世界をつくりだす。ジグソーパズルのように平面を黒と白の模様で埋め尽くす手法を使い、『メタモルフォーシスI(英語版)』『昼と夜』『循環』などを制作した。しかし、父親は彼の新しい作品を理解することなく1939年に亡くなる。1950年代に入るとアメリカの2つの雑誌に紹介され、急速にアメリカの若者の支持を得ていった。やがて多くの地質学者と交流を持つようになり、1955年にはヒルフェルスム文化賞を受賞している。現在良く知られている作品『凸面と凹面(英語版)』(1955年)『物見の塔(英語版)』(1958年)『円の極限IV』(1960年)『上昇と下降』(1960年)『滝』(1961年)などがこの時期次々と生み出された。 このように幾何学的趣向の強い作品を数多く作成するようになったエッシャーであったが、風景画も作品の中心を占めており、『水たまり』(1952年)『三つの世界』(1955年)などが制作された。だが、これらの風景画にも光の反射や水面の波紋など、物理的要素や幾何学的要素が多く含まれている。 作品が不可思議な世界を持っているからだろうか、エッシャー自身は受け入れられた事から距離を置いて見ていた。エッシャーの作品を麻薬を吸いながら絵を眺めるような若者もいた。また、作中の植物が大麻ではないかと疑われたことすらあるが、もちろん何の関係もなかった。1950年にオランダ紙幣のデザインに取り組んだが、その紙幣は発行されていない。
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