エジプト最大の建築家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 07:57 UTC 版)
「エジプト第19王朝」の記事における「エジプト最大の建築家」の解説
前述したように、ラムセス2世はエジプト王の中でも最も大規模に建設活動を行った王である。しかも、自らが建設した建造物のみならず、既存の建造物にも次々と自分の名を刻ませたため、現在エジプトに残るほとんどの建造物にラムセス2世(ウセルマートラー)の名が残されている。 彼の手になる建造物として代表的なものに、まず父王であったセティ1世のものを引き継いで完成させたアビュドスのセティ1世葬祭殿があり、その葬祭殿の北側に自分の神殿を建設した。テーベでは、ラムセス2世自身のための巨大な葬祭殿(ラメセウム)を建て、アメンヘテプ3世が着工した大柱廊の完成を見ると、その前面に大きな中庭を付け加え、二本のオベリスクとラムセス2世の巨像6体を並べた。またヌビア全域に数々の神殿を残している。代表的なものとしてはベイト・アル=ワリ、ゲルフ・フセイン、ワディ・エル=セブア、デールなどのものがあげられるが、特筆すべきはアブ・シンベルに建造された大神殿(アブ・シンベル大神殿)である。これは岩壁を掘削して造られた建造物としては世界最大のもので、神殿入り口には4体の座像が立てられ、いずれも高さ20メートル以上の大きさを持っている。この大神殿は春分と秋分の日に、入り口から入った太陽光線が神殿奥の4体の神像のうち3体を照らすように設計されていることで知られる。王家の谷に造られた彼の王墓はまた、歴代の王墓の中でも最大の面積を持つ。 下エジプトにも数多くの建設を残したことが記録からわかっているが、この地方に残された建造物の多くはナイル川の流れや、後世の破壊によって失われてしまっており、遺構の多くが近現代の建造物の下に埋まっている。ラムセス2世時代にはまた、古い記念建造物の修繕も行われた。特に賢者の誉れ高かったラムセス2世の4番目の王子カエムウアセトは、ギザのピラミッドの修復や、スフィンクスにたまっていた砂の除去などを行い、「エジプト最初の考古学者」とも呼ばれている。
※この「エジプト最大の建築家」の解説は、「エジプト第19王朝」の解説の一部です。
「エジプト最大の建築家」を含む「エジプト第19王朝」の記事については、「エジプト第19王朝」の概要を参照ください。
- エジプト最大の建築家のページへのリンク