エイブル・アートへの評価と問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/11 02:44 UTC 版)
「エイブル・アート」の記事における「エイブル・アートへの評価と問題」の解説
エイブル・アートの価値判断の難しさと、制作現場の環境を整える必要があることを、東京都美術館館長の真室佳武は挙げる。障害者の作品の制作環境は、自立支援の福祉政策がより整備され、普通の生活が送れる中で行われなければならないことも指摘している。また真室は、エイブル・アートの展示をひろめるために、専門の学芸員の養成と資金の調達、展示会場のバリアフリー化が必要であることを述べ、支援する企業への依存が大きいことを問題点とする。 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 芸術・文化政策センター研究員の西尾真治は、エイブル・アートが市民へもたらす「社会的インパクト」を見て、社会資源として有効であるとし、市民の芸術運動の質と量を上げることの触媒としての効果を期待する。また、西尾は、ユニバーサルデザインの意義の重要性を述べ、行政の文化支援政策において誤解されがちなユニバーサルデザインというものに、共通する意味合いを持つエイブル・アートが、見直す鍵になることを期待する。そこで、エイブル・アートへの、行政の積極的な参加を求めている。 一方、自身もエイブル・アートにかかわった経験を持つ、アウトサイダー・アートの専門家で兵庫県立美術館学芸員の服部正は、エイブル・アート自体に批判的である。服部は、1999年の「エイブル・アート 99'」にチーフ・キュレーターとして参加し、期待を込めて「このアートで元気になる」という副題を命名した。しかし、以降、協会の活動が社会福祉運動に方向性を決めたことを分析して、エイブル・アートに失望したことを告白する。福祉施設発の運動、エイブル・アートが、芸術を通した、障害者の地位向上、環境の向上を目指す社会運動であり、服部の、その作品自体とその閲覧者を重視する立場とは相容れなかったという。
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