インスタントラーメンの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 00:20 UTC 版)
「安藤百福」の記事における「インスタントラーメンの開発」の解説
大阪府池田市の自宅敷地内に小屋を作り、かねてから構想を抱いていたインスタントラーメン(即席めん)作りに取り組んだ。安藤はインスタントラーメンを、 おいしくて飽きがこない。 保存性がある。 調理に手間がかからない。 安価である。 安全で衛生的。 の5要件を満たすものと定義した。早朝から深夜まで小屋に籠り、インスタントラーメン作りに取り組む生活を1年間続けた。 開発の過程は失敗を繰り返しながら少しずつ前進するというもので、開発成功の決定的な場面は思い浮かばないという。安藤はまず、スープの味を染み込ませた「着味麺」の開発に取り組んだ。小麦粉の中にスープを染み込ませて味の付いた麺を作ろうとしたが、製麺機にかけるとボロボロになって切れた。そこで麺を蒸してからスープに浸してみたが、今度は生地が粘ついて乾燥しにくいという問題が生じた。試行錯誤の末、じょうろを使って生地にスープをかけ、しばらく自然乾燥させた後に手でもみほぐすという方法を考案した。スープはチキンスープを選んだ。きっかけは庭で飼っていたニワトリが調理中に暴れたことに驚いて以来鳥肉を口にしなくなった息子が、鳥ガラでとったスープで作ったラーメンだけは食べたことにあった。 次に、麺を長期間保存ができるように乾燥させ、かつ熱湯をかけるとすぐに食べることができる状態になる性質を持たせることに挑んだ。天ぷらからヒントを得て、麺を高温の油で揚げることにした。安藤が意図したのは、麺を高温の油で揚げると水分がはじき出されると同時に麺に無数の穴が開き、熱湯を注いだ際にはその穴から湯が吸収されて麺が元に戻りやすくなるという仕組みであった。麺の固まりを油の中に入れるとバラバラに分解して浮かび上がるため、針金と金網を使って枠型を作り、その中に麺を入れて揚げる手法を考案した。これら一連の製法は「瞬間油熱乾燥法」と名付けられ、1962年(昭和37年)に特許を取得した。安藤は、油熱乾燥させたラーメンは独特の香ばしさを持つようになるが、その香ばしさこそがおいしさの秘密であり、普通のラーメンとは違う食べ物にしているのだと述べている。
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