イタリアの家事調停
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:00 UTC 版)
イタリアでは、1987年にミラノで家事調停の普及活動を目的とする団体が設立されたのを皮切りに、各地に任意団体が設立され、調停人の教育及び義務に関する自主規制基準を公表する団体も現れるようになった。エミリア=ロマーニャ州では、1994年以降、公的機関による全州均質の家事調停が提供されるようになり、2002年には州立家事調停研究センターが設立され、同センターが家事調停機関の支援を行っている。2018年4月10日にはミラノ地方裁判所内に家事調停情報室が開設され、家事調停に関する情報提供や公私の調停人の紹介を行っている。 イタリアの調停を一般的に規律するのは、2010年3月4日立法命令第28号と「民事及び商事紛争を解決するための合意支援に関する2009年6月18日法律第69号第60条の告示」である。イタリアでは、一部の紛争分野で調停前置主義が採用されており、家事紛争の分野では、尊属(親、祖父母、曾祖父母など)から卑属(子、孫、ひ孫など)への事業承継に関する紛争について、調停を経由していることが訴え提起の訴訟条件とされている。その他の家事紛争では調停の経由は任意的であるが、子の監護に関する訴訟においては、裁判所は、判決宣告を延期して当事者に調停による解決を試みさせることができる。 イタリアでは、調停機関となり得る者に特別な制限はない。しかし、司法省が「登録調停機関」の制度を設けている ほか、各地方自治体の家庭相談センターや社会福祉部局が相談者を家事調停機関につないでいる。 イタリアには、家事調停とは別に、交渉支援 (イタリア)(イタリア語: Negoziazione_assistita)と呼ばれる制度もある。交渉支援は、移転可能な権利に関する当事者間の合意を弁護士が関与して書面にまとめると、当該合意が執行可能になるという制度である。別居及び離婚については、検察官が合意内容を審査する。当事者間に未成年又は無能力の子がいるときは、検察官が、子の利益が確保されるような再調整を当事者に行わせることもある。
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