アルプス地方のヨーデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 19:14 UTC 版)
ヨーデルのファルセット部は、声を出す部位として、仮声帯を使用する。仮声帯は声帯とは別器官なので、通常の発声方法とは異なる。別器官であるため、風邪で喉が潰れても仮声帯で発声する高い声は出せることがある。仮声帯は本来声を出す為の器官ではないが、気道の肉が多い部分の近辺の筋肉を鍛えてあたかも声帯の如く扱うことにより、発声が可能となる。 ヨーデルを含む歌は、同じアルプス地方の各地域でも歌われ方の傾向が異なる。スイスの伝統的なヨーデルにおいては、土着的なヨーデル部分のみで歌詞のないものが比較的多いが、ドイツ語の歌詞部分にヨーデルが挟みこまれるヨーデルリートと呼ばれる形式も数多く作曲されている。スイスでは現在でもこどもから大人まで多くのヨーデル人口を有し、連邦ヨーデル連盟という団体が伝統を守り育てていくことに大きく貢献している。次々と新しい曲が作曲されるなど、発展を続けている現在進行形の民俗音楽といえる。 また、スイスのヨーデル連盟では手振りなどを用いずに歌声のみでヨーデルを表現することを求めるため、ハンドポケットで歌唱することを義務づけている。 「おおブレネリ」や「ホルディリディア」などは、スイス民謡として日本においてもよく知られる。「おおブレネリ」は現地では歌われなくなってしまい、来日した合唱団の日本向けLPアルバムを作るときに、日本側からの要望に応え急遽練習して収録したというような逆転現象も起こっている。 なお、アルプス地方でも、ドイツ語圏以外のイタリア語圏・フランス語圏の地域では、ほとんど歌われていない。
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