アメリカ中央軍とは? わかりやすく解説

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【アメリカ中央軍】(あめりかちゅうおうぐん)

United States Central Command(USCENTCOM)

アメリカ軍における地域別統合軍一つで、アラビア海及び中東中央アジア地域担当している。
1962年アメリカ打撃軍として創設され1980年に緊急展開部隊(RDF)と統合、そして1983年中央軍として再編される。

米ソ冷戦戦われていた初期の頃活躍の場はほとんどなく他の統合軍比べて存在感薄かったが、1991年湾岸戦争以後、もっとも危険な地帯化した中東及び中央アジア地域戦略の要とされている。
イラクアフガン軍事作戦が行われている現代では、アメリカ統合軍の中で最も活発に活動行っている。

構成

空軍海兵隊は、中央軍担当地域固有の部隊置かずその都度必要に応じて他の地域から部隊展開する方法とっている。
2008年までアフリカ大陸北東部管轄していたが、新規に設置されアフリカ軍管轄移動した


アメリカ中央軍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/21 06:21 UTC 版)

アメリカ中央軍
中央軍のエンブレム
創設 1983年
所属政体 アメリカ合衆国
部隊編制単位 地域別統合軍
軍管区
所在地 フロリダ州タンパ マクディール空軍基地英語版
戦歴 湾岸戦争アフガニスタン戦争イラク戦争
特記事項 CENTCOM
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アメリカ中央軍(アメリカちゅうおうぐん、英語: United States Central Command, USCENTCOM)は、アメリカ軍の地域別の統合軍の一つ。フロリダ州タンパ市マクディール空軍基地英語版に司令部を置く。現任司令官はマイケル・クリラ陸軍大将

来歴

中央軍の直接の前身に当たるのが緊急展開統合任務部隊 (RDJTFである[1]。これはアメリカ即応軍(USREDCOM: 旧打撃軍)隷下で、中東アフリカ地域への対応を優先とする全世界への事態対処の任務を持つ統合任務部隊英語版であり、第四次中東戦争以降の中東地域の不安定化に対応するため、1980年3月1日、フロリダ州のマクディール空軍基地において司令部が設置された[1]。実施部隊はアメリカ軍全体の予備の中から任務に応じて編成されるが、その多くは北大西洋条約機構(NATO)関連を含むその他の有事対応の任務を合わせ持っていた[1]

この時期、アフガニスタン紛争などを背景にソビエト連邦の中東地域への侵攻が懸念されるようになっていたこともあって、1981年の国防長官の指示を受けて、統合参謀本部はRDJTFを中東地域を担任する地域軍へ改編するための検討に着手した[1]。検討の過程で担任範囲について議論になり、また海軍作戦部長や海兵隊司令官がRDJTFを地域軍に改編することへの反対意見を表明した一幕もあったが、1982年11月12日には改編後の地域軍の名称がアメリカ中央軍(United States Central Command)と決定され、11月19日にはマクディール空軍基地において中央軍司令部としての活動を開始、1983年1月1日に正式に設立された[1]。担当地域は南西アジア及び北東アフリカであるが、イスラエルやシリア等は欧州軍の管轄となっている[1]

その後、1987年に特殊作戦軍(USSOCOM)が創設されると、その財源確保のためにREDCOMは廃止された[1]。この際、統合参謀本部議長はREDCOMの任務を全てCENTCOMに移管する考えを持っていたが、国防長官を納得させることができなかったため、中央軍に平素から隷属している軍種構成部隊司令部は存在せず、全て他の統合軍等に所属し、その所在地は全てが地理的に離隔した場所に位置するという状態が継続していた[1]

しかし、湾岸戦争以後存在感が急激に高まり、イラクアフガニスタンで軍事作戦が行われて以降では、アメリカ軍の統合軍の中でも最も活発な活動を行っている統合軍となっている。

2019年4月、イスラム革命防衛隊テロ組織認定された報復として、イランがテロ組織認定をした[2]

2021年9月には、イスラエルの管轄が欧州軍から中央軍に移行している[3]

編成

各地域別統合軍の担当地域の図。中央・黄色が中央軍の担当地域である。

中央軍は、その司令部をフロリダ州タンパに位置するマクディル空軍基地に置く。中央軍司令部は人事、情報、作戦、兵站、計画及び政策、情報システム、訓練及び演習、資材などの各部門から構成されている。この中でも特に情報部門は中央軍統合情報センター(JICCENT)と呼ばれ、諜報活動の調整を行う統合情報センターとして機能している。中央軍統合情報センターには、アフガニスタン・パキスタン・センター・オブ・エクセレンスなどの部門から構成されている。中央軍は、5個の統合軍構成コマンド(service component commands)と1個の副統合軍から構成されている。

統合軍構成コマンド

副統合軍

歴代司令官

中央軍司令官のポストは、初代司令官であるロバート・キングストン陸軍大将以来、長年にわたって陸軍および海兵隊の出身者が補職される状態が続いていた。この状態は、2007年ウィリアム・ファロン海軍大将が海軍出身者として初めて司令官に任命されたことで解消したが、ファロン大将の退任以降は、現任のヴォーテル大将に至るまで再び陸軍または海兵隊の出身者が補職されている。

写真 氏名 軍種 着任 離任
1 ロバート・キングストン陸軍大将
en:Robert Kingston
陸軍 1983年
1月1日
1985年
11月27日
2 ジョージ・クリスト海兵隊大将
en:George B. Crist
海兵隊 1985年
11月27日
1988年
11月23日
3 ノーマン・シュワルツコフ陸軍大将
Norman Schwarzkopf
陸軍 1988年
11月23日
1991年
8月9日
4 ジョセフ・ホーア海兵隊大将
en:Joseph P. Hoar
海兵隊 1991年
8月9日
1994年
8月5日
5 J・H・ビンフォード・ピーイー3世陸軍大将
en:J. H. Binford Peay III
陸軍 1994年
8月5日
1997年
8月13日
6 アンソニー・ジニ海兵隊大将
en:Anthony Zinni
海兵隊 1997年
8月13日
2000年
7月6日
7 トミー・フランクス陸軍大将
en:Tommy Franks
陸軍 2000年
7月6日
2003年
7月7日
8 ジョン・アビゼイド陸軍大将
en:John Abizaid
2003年
7月7日
2007年
3月16日
9 ウイリアム・ファロン海軍大将
en:William J. Fallon
海軍 2007年
3月16日
2008年
3月28日
代行 マーティン・デンプシー陸軍中将
en:Martin Dempsey
陸軍 2008年
3月28日
2008年
10月31日
10 デヴィッド・ペトレイアス陸軍大将
David Petraeus
2008年
10月31日
2010年
6月30日
代行 ジョン・アレン海兵隊中将
en:John R. Allen
海兵隊 2010年
6月30日
2010年
8月11日
11 ジェームズ・マティス海兵隊大将
James Mattis
2010年
8月11日
2013年
3月22日
12 ロイド・オースティン陸軍大将
en:Lloyd Austin
陸軍 2013年
3月22日
2016年
3月30日
13 ジョセフ・ヴォーテル陸軍大将

en:Joseph_Votel

2016年
3月30日
2019年
3月28日
14 ケネス・マッケンジー海兵隊大将

en:Kenneth F. McKenzie Jr.

海兵隊 2019年
3月28日
2022年
4月1日
15 マイケル・クリラ陸軍大将

en:Michael Kurilla

陸軍 2022年
4月1日
現職

脚注

出典

参考文献

関連項目

外部リンク



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