アメリカの政治の法律と運営
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「アメリカの選挙の歴史」の記事における「アメリカの政治の法律と運営」の解説
アメリカ合衆国憲法では、議院内閣制の国と異なり、立法機関である議会の立法権と行政機関である大統領府の行政権は分離されている。立法権と行政権の分離の例外は、副大統領が上院の議長を兼任し、上院の票決で賛成と反対が同数の場合に、議長が可決か否決か決定することである。連邦法案、連邦政府の予算・収入・歳出法案、合衆国憲法の修正、外国に対する宣戦布告の発議・審議・票決は連邦議会の上院と下院の権限である。大統領は年頭教書・予算教書で政策を表明し、大統領の考え方・政策を支持する議員に対して、連邦法案、連邦政府の予算・収入・歳出法案、憲法修正、外国に対する宣戦布告の発議・審議・票決を働きかけることはできるが、大統領が連邦法案、連邦政府の予算・収入・歳出法案、合衆国憲法の修正、外国に対する宣戦布告の発議・審議・票決をする権限は無い。議会が可決した法律に大統領が署名すれば法律は成立して発効し、大統領が拒否権を行使した場合は、議会が三分の二以上の賛成で再可決すれば、大統領の拒否権を無効にして法案は成立して発効し、議会が三分の二以上の賛成で再可決できなかった場合は法案は成立しない。 アメリカ合衆国憲法では、大統領が署名した国際条約の批准、大統領が任命した連邦政府の省庁の長官・副長官・次官・次官補などの責任者と管理職、連邦裁判所の裁判官、国外の大使館に派遣する大使、国際機関に派遣する代表の就任の適格性の審査と承認、大統領を弾劾裁判に訴追し罷免することは、下院にはない上院の独自の権限であり、可決には上院議員の三分の二以上の賛成が必要である。上院議員の選挙で特定の政党が三分の二以上の議席を獲得することは希少例であり、多数派の議席数は総議席数の三分の二未満が通常であるから、大統領が署名した条約の批准、大統領が任命した連邦政府機関の省庁の責任者と管理職、連邦裁判所の裁判官、国外の大使館に派遣する大使、国際機関に派遣する代表の就任、大統領に対する弾劾訴追と罷免を上院が可決するには少数派の政党の議員の賛成も必要である。 アメリカの議会では、議員がどのような法案を発議するか、法案に対してどのような審議をするか、法案に対して賛成投票するか反対投票するかについて、政党が議員に賛成・反対の投票を強制・命令できる法律は存在せず、賛成・反対の投票が議員の所属政党により一律に決定される慣習もない。
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